児童生徒の夢がかなう福島の教育の実現に向けて -086/157page
2 授業の実際
基礎・基本の明確化
<1次2時目>本題材のねらいに直結する導入にするためには、基礎・基本である「音色に気を付けて」楽器を演奏する基盤としての「音色への関心」を高めることが必要であると考え、次のように展開を工夫した。
[ 音色への関心を高めるために ]
前時に学習した「音のカーニバル」を歌った後、音あてゲームを行った。
「目を閉じて、いくつの音が聞こえたか当てよう」と問いかけ、次の4種類の材質のばちを使ってシンバルをたたいた音を聴かせた。
○硬い木製ヘッドおよび柔らかなゴム製ヘッドのマレット
○小太鼓のステイック
○ティンパニーのスティック
普段の学習では音色に対してあまり関心のない児童であるが、ほとんどの児童は2種類の音色を聞き分け、たたき方の違いと音色が変化の関係を感覚的にとらえることができた。
[ 見通しを持って音さがしを ]
「いろいろな音を出すにはどうしたらいいだろうか」と問いかけるとともに、本題材で身に付けさせたい基礎・基本である「音色に気を付けて楽器を演奏する」姿を具現するためには解決の見通しを持たせることが大切であると考え、具体的な視点を次のように示した。
児童との語し合いでは、たたくもの、たたく場所の2点を確認した。
教師からは楽器の材質に着目させて木、皮、金属の3種類を示した。
さらに、さがした音を「音のカーニバル」の手拍子の部分に当てはめて演奏することが目標であることを確認して学習に入った。
児童は一斉に音楽室の中の楽器のそばにかけより、どんな音か試している。徐々にグループごとに集まり、「音のカーニバル」の中の ○△◇□ に当てはめて演奏してみる。何とか4種類の音を見つけだして順々に演奏するグループ、テンポが合わずうまくいかないグループ。
そのうち、あるグループは歌いながら楽器を演奏すると合わせやすいことに気付く。「音色に気を付けて楽器を演奏する」姿を具現するために、より確かな技能を主体的に身に付けさせたいと考え、身近な音楽で使われてきた打楽器や範唱などで耳慣れているラテン系の打楽器の奏法について、実際の演奏やVTRを鑑賞させるなどの工夫を試みた。まず、地元に伝わる「天寧獅子」の締太鼓の演奏の様子をビデオで鑑賞し、次にA君に演奏してもらった。彼の家族は、毎年「天寧獅子」に参加し、A君自身も身近にその姿に接していたため、演奏する姿勢も出てくる音も児童にとっては普段耳にする機会の少ない新鮮なもので、他の児童は真剣に聴き入った。