児童生徒の夢がかなう福島の教育の実現に向けて -101/157page
3 実践の考察
この授業の中で、子供たちは思い思いの材料を集め、自分の好きな方法で表現を楽しんでいた。表現につまずき、どうしていったらいいのか悩んで立ち止まってしまう姿も見られたが、鑑賞などを通した友だちとのかかわり合いや教師の共感的な支援によって、新たな表現へと発展させていくことができた。幅広く多様なとらえ方のできる題材を通して、自分の表したいことを材料や方法にとらわれず思いのままに表現させるためには、日頃から子供たちのものを見る目・感じる心を育てていくことや、多くの材料体験をさせるということが大切であることを改めて感じた。
題材開発
○「よろこび」を形にしようと、形のないものを形にするおもしろさを子供たちに提案したことで、自分の表したいことを多様な方法で表現することができた。
○「よろこび」ということが抽象的で、自分の中で十分に消化しきれず、具体的なイメージをなかなかもてない子がいた。題材として多様な表現が期待できるものであっても、出会いの場面で一人一人により具体的なイメージを持たせるための働きかけが重要である。
幅広い造形表現
○子供たちは、家にあった廃材、身近な自然、自分のお気に入りのものなどの中からさまざまな材料をみつけ、それらを使って思い思いの方法で生き生きと表現活動に取り組んでいた。自ら選んだテーマ、材料、方法によって表現させることで、自分の思いをよりよく表現しようと工夫する姿が多く見られ、また、表現できた喜びも強く感じていた。
○申し出があれば可能な範囲で教師も材料を準備するという形にしたのだが、それによって材料調達を教師に依存してしまった子も出てきた。自分で材料を見つけてくることをもう少し徹底させることによって、さらに、一人一人の興味・関心を高め、自分の表現への愛着を強めることができたのではないか。
造形環境
○スペースの確保等の都合で、現在のところ材料プールは学級内だけで行っている状態であるが、他にも材料をプールしている学級があるので、ぜひ全校規模での材料プールヘと発展させていきたい。
○全校生の目に触れる場所に展示スペースを設けることで、各学年の友だちの多様な表現に触れることができた。さらに、作品を見て感じたことを伝えることにより、一方的に見せるだけではなく、つくった側と見る側との交流の場を設けることができた。
評価支援
○よさや美しさなどに対する感覚や判断力などを豊かにするだけでなく、自分のよさを再認識し意欲をもって表現したり、友だちの表現をヒントに自分のつまずきを克服したり自分の表現に生かしたりと、その後の表現活動にもプラスとなって働く面が多かった。