児童生徒の夢がかなう福島の教育の実現に向けて -107/157page
2 授業の実際
1 家庭の仕事夫作戦パートI 2時間
ここでは、家事参加に対する意識をつかむため、役割演技を導入した。子供の生活の実態から学習を始めたいと考えたからである。
役割演技の導入
(1) 家庭の仕事は誰のため
〜子供の本音は〜 1/2時役割演技の状況設定
学校から帰り、あなたはテレビを見て一休みしていました。「さあ、宿題をしよう」と思っていると家の人から「ご飯の支度を手伝ってね。」と言われました。あなたは、なんと答えますか。
<子供の反応>
いいよ 9人 どうしよう 2人 いやだ 26人 理由 別に 8人 仕事が好き 1人
手伝ってもよいが宿題もしたい 2人 宿題をやる 8人 遊びたい1人見たいテレビがある 5人
疲れる 1人 ぼくばっかり 7人子供たちの反応をみると、家事に参加するよりも自分の生活を優先したいという本音が出た。話し合いを通して、少数ではあるが「危ない」「男の子は家事をすることはない」という家の人の考えも出た。子供たちの日常の様子が浮き彫りになってきた反面、家事参加の必要性に目を向かせることができなくなってしまった。そこで、教師が母親の立場から「忙しいときに家事を分担してもらえるとありがたい」「普段は話す時間が少ないが、一緒に仕事をしていると自然に会・話ができて嬉しい」という考えを述べてみた。その言葉に子供たちは、自分の家族もそうなのかな、試しに何か手伝ってみようという思いを抱き、「お手伝い大作戦」を家庭で実施することになったのである。
この事例から、本音を引き出すことは大切であるが、同時に家事参加の必要性や意義についても取り上げ、両者の視点から家庭の仕事を考えていく必要があることがわかった。役割演技を発展させて子供と家族の立場で討論を繰り広げたり、家族に参加いただいてパネルディスカッションをしたりと様々な展開が考えられる。
(2) やったあ! お手伝い大作戦
〜お手伝い大作戦の成果を話し合おう〜 2/2時
子供たちが挑戦してみた家庭の仕事は、次の通りである。
衣 食 住 その他 洗濯(洗う,干す,
取り込む,たたむ)食事作り,配膳,
食器片づけ,
食器洗い風呂そうじ,
部屋そうじ布団干し,布団たたみ,
買い物,水やり,
ペットの世話,弟・妹の世話
母親のコミュニティーゲスト
子供たちが実行した仕事を分類して板書し、自分や家族を支える事の多様さをとらえることができるようにした。また、実践について家族の感想を紹介し合うとともに、母親を招いて感想を話していただくことにした。前時の反省から、母親の生の声を聞いた方が家事参加の意義を実感できるのではないかと期待したからである。