児童生徒の夢がかなう福島の教育の実現に向けて -111/157page

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5 実践の考察

 問題解決的な学習に実践的・体験的な活動を効果的に位置付け、人とのかかわりを大切にしながら、よりよい生活を創り出す喜びや成就感を味わい、家庭生活への関心を高める授業を工夫してきた。ここでは題材展開の4つのポイントに基づいて成果と課題を述べる。


生活を総合的に
とらえた題材構成

 お手伝いを切り口に、子供の生活を総合的にとらえ、家庭の仕事、調理、住まい方、住まいを飾る小物の製作と子供の視野を広げて、最後に自分で実践する家庭の仕事に返る展開とした。「自分の家庭生活を詳しく見てみよう」というテーマのもとに小題材間の関連を図ったため、子供たちの課題意識は連続し、学習に必然性が出てきた。この他に季節感や学校行事、地域などと結びつけて子供の自然な生活の流れを生かして題材構成することも考えられる。その際、2年間の学、習を見通して系統性や発展性を考慮し、小題材のねらいや育成すべき資質能力を明確にすることを大切にしたい。


問題解決的な学習

 「めざせ!そうじ名人」では、子供たちの課題を4つに焦点化し、それぞれの見通しのもとに課題を追究していくようにした。各自の考えを生かす場を具体的に設定することで、子供たちは工夫する楽しさを味わいながら学習に取り組むことができた。個の追究を支える教師の働きかけとしては、既有の経験や学習を想起させてやること、多様な考えを関連づけて視野を広げたり追究の方向性を示したりすること、迷ったときは助言や励ましを与えることなどがあった。子供の姿を見取って、その場でフィードバックしたり認め称賛したりすることが大切である。また、子供同十の考えを交流させることにより、一人一人の見方や考え方が深まったり広がったりしていった。子供は自分の課題を強く意識すればするほど、友達の課題や考えに対する関心は薄くなってしまう。その点、ワークショップ形式の交流は、活動を伴って相手の実践を理解するので有効であった。さらに、交流後活動のまとめを行い、習得した知識・技能を整理した。このことにより各自の取り組みが一般化され、各家庭の実態に応じた実践化が図られていった。活動後のまとめを今後も大切にしたい。


実践的・体験的な活動
の位置づけ

 役割演技や試行活動の導入、実習の段階的な設定など実践的・体験的な活動を工夫してきた。生活経験が少ない子供たちは、活動を繰り返すことによって、家庭生活に関心を持ったり実感的に知識や技能をとらえていったりした。子供が試行錯誤する時間を十分確保することで、その子なりの生活に対する発見がある。その発見の喜びが家庭での実践や次の学習への意欲につながっていった。しかし、時数は限られているので、題材のねらいに沿った活動を効果的に位置付けていきたい。


人とのかかわり合い
家庭との連携

 母親や祖母をゲストとして招くことにより、家族の思いを改めて感じたり、生活の知恵に触れたりすることができた。人との触れ合いによって生じる心の温もりや思いやりは、家庭生活の理解を深くし、実践的態度を育てていくことを実感した。近年、人とのかかわりが希薄になってきていることが問題とされている。だからこそ、家庭、地域との連携を図って、様々な人との交流の機会や場を意図的に設け、子供たちが心豊かに学んでいけるようにしていきたい。


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