児童生徒の夢がかなう福島の教育の実現に向けて -121/157page

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6 実践の考察

 新学習指導要領の趣旨を踏まえ、生徒各自が使用する材料に合わせて、加工に必要な工具の使用法をそれぞれ追究する学習を実践したが、成果と課題は以下のとおりである。


生徒の意欲を高める
強い動機付け

◎ 自己評価にあるように、多くの生徒は自分が使用する工具の学習に意欲的に取り組むことができた。なお、生徒の学習意欲を高めるためには、導入段階において様々な材料の活用例に着目させ、「この材料を加工する工具が知りたい」「〜だからこの授業をがんばろう」といった強い動機付けや学びの必然性を感じさせることが必要である。


自己課題に基づく体験的な課題
追究の視点に気づく場

○ 本時ではビデオを活用したが、自ら必要としている工具の使い方について体験的に調べ学習をしていく中で、いかに工具に共通したコツに着目させ、教科の本質に迫る学習活動を展開させられるような資料提示にしていくか、生徒の発達段階やレディネスを的確に踏まえ、検討と工夫をしていく必要がある。


自分が必要とする加工法
について自ら調べ、技術を
習得していく学習

◎ 製作で扱う工具の種類が増えたにもかかわらず、指導時間は、従来どおりで対応することができた。今後、ものづくりの学習の中で扱う材料や加工工具は、更に広がっていくものと考えられるので、このような学習形態は、指導時間短縮のうえで有効であることがわかった。

○ 実際の授業を実践してみて、いかに生徒の自主性を引き出してやるかという点を課題として感じた。授業の内容が多く、どうしても従来どおりの教師が前面に出過ぎる授業となってしまった。生徒主体の授業を実現するには、可能なところは思い切って省き、指導の重点化を図ることで時間に余裕を持たせることが必要である。

○ 生徒は多くのグループに分れてそれぞれ工具の使い方を練習し、教師は安全面の配慮や生徒への支援を、グループの活動場所の配置を工夫することで対応した。実際の授業の中でけがをした生徒やトラブルは発生しなかったが、教師1人ですべての生徒に注意をはらうのは、やはり大変である。より安全で生徒へきめ細かな対応をするということを考えた場合、T・Tでの授業が望ましい。それができない場合、生徒の実習場面だけでも他の教師等に協力してもらえる環境ができるとよいと思う。


課題追究の成果を共有し、
正しく合理的に切断する
ための視点に気づく場面

◎ 生徒が友人の発表を聞く中から、正しく合理的に切断するための視点(コツ)に気づく場面では、教師が生徒のつぶやきを逃さず上手に吸い上げ、切断工具使用のコツを導き出していけるよう、力量を高めていく必要を感じた。

◎ 生徒の技能の定着度は、授業後の製作の様子を見ると、一斉授業の時に比べ、若干机間支援の回数が増えるが、ほぼ満足できるレベルであった。

◎ 今回は切断用工具についての学習場面で実践したが、他の加工工具や接着剤などの学習でも、同じような学習形態が実践可能である。



 実践的体験的な活動の一層の重視が求められているが、今後も題材の導入時における動機付けをしっかり行い、生徒に学びの必然性が感じられ自ら主体的に学ぶ姿が見られる授業づくりを心がけていきたい。


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