教育福島0002号(1975年(S50)06月)-006page

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特集・教材の精選

 

この特集の趣旨

 

福島県教育庁参事兼義務教育課長

古関富男

四回の特集号を発刊することになり、その第一回が本号となったしだいである。

 

長い間皆さんに親しまれて来た広報誌「学校教育」は、本年度から本誌「教育福島」に統合され、装いを新たにして出発することになった。ただ、こうなっても、「学校教育」が、これまで果たして来た役割は引き継ぐという配慮から、義務教育課関係の問題について、年四回の特集号を発刊することになり、その第一回が本号となったしだいである。

さて、現行の小・中学校の教育課程は、昭和四十三年及び四十四年に告示された学習指導要領に基づいて編成されているものであるが、現在、教育課程審議会において、その改訂について審議されていることは御承知のとおりである。この改訂作業の一環として、去る二月に、全国五地区で、現場の教師の意見を聞く会が開かれた。

この会において、共通に、しかも強く指摘されたのは、各教科の指導内容の量を減らしてほしいということや、年間の授業日数、時数を削減する必要があるということであったという。このような意見が出たのは、今日の教育課程が内容の面で盛りだくさんで、教科の指導では、知的な面の習得に追われ、また、学校生活全体から見ても、児童・生徒の全人的な発達を図るための、調和のとれた指導がおろそかになっているのではないかとの反省に立っているものと見てよいであろう。おそらく、今後の改訂作業において、この問題は一つの焦点となろうし、また、大いに改善されるものと期待したい。

しかし、この点については、去る四十七年に文部事務次官通達があり、「人間として調和のとれた育成」を目指すべきことや、「各教科の指導が知識の単なる詰め込みにとどまり、学習が不消化にならないよう」とのことが示され、また、指導上の着眼として、「教科書の使用に当たっては、学習指導要領に示す各教科等の目標及び内容に照らし、また、児童・生徒の実態を考慮して、必要により記述内容の取り扱いに軽重を加えたり、内容を精選したりするなどの適切な配慮を行うこと」があげられている。

従って、指導内容の精選については学習指導要領の改訂によって、前進することを期待したいが、それが実現するまではやむを得ないとして、見過ごしてよい問題ではない。われわれのあずかる子供たちは、一刻もその成長を停止することはない。もし、自校の教育課程が指導内容の精選上問題があるなら、法的基準を踏まえながら、改善を加え、実際指導面でも工夫して行くことは、教師の当然の責務であろう。

この特集が、そのような先生がたの御努力に対して、なんらかの手がかりとなれば幸いである。よろしく御検討願いたい。

 

 

 


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