教育福島0002号(1975年(S50)06月)-019page
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() |
このように、教材の精選は、子供の主体的な学習の可能性と深くかかわりを持っていることはわかったわけであるが、教材精選、とりわけ歴史教材における精選の具体的な作業の場合、手順はどうかとか、中心教材の選択といった問題が常に大きな壁として立ちはだかって来る。
教材精選の手順では、最大のポイントとして、単元(小単元)目標を明確にとらえて、その達成のために何が中心となる要素か、そして何が具体要素か、あるいはどれをカットしてもよいのかを決めることが十分できなかった。
今、しみじみ感ずることは、ペスタロッチの言う「すきまなさ」の原理とワーゲンシャインの言う「すきまへの勇気」を使い分け得る教師の教材に対する深い解釈力と、教師間の協力による教材精選の手順や精選内容の一般化・普遍化への努力が重要な課題として残るということである。
(教諭阿部総)
三、考察
社会科の指導内容は、教科の性格からみて、広範多岐にわたっているので、観点と手順を抑えた教材精選を進めて行くことが大切である。こうした観点からこの実践例を見るとき六年の歴史学習における目標内容を抑え、内容を選び出す観点を立てて指導計画の自校化を図り、教材を構造的には握することによって重点化を進めていることは、精選の基本を踏まえたものである。
特に、鎌倉時代の代表的な人物や事件、物語を中心に置き、課題設定によって、時代のしくみや特色を追究させていることは、小学校の歴史学習の本質に迫るために極めて効果的な方法である。
精選のための今後の課題としては、
(一) 指導計画自校化のための手順、方法を明らかにすること。
(二) 学習指導要領の立場からの精選とともに、児童サイドに立った精選も考えて行くこと。
(三) 小学校の歴史学習における教材精選の観点を明確に抑えること。
(四) 授業実践を通し、精選された教材での学習結果に評価を加え、、記録の累積を図りながら改善を進めること。
(五) 教材精選を効率的に進めるための校内研究のあり方や、地域研究グループの連携をどのように進めて行くのが効果的かを研究すること。
算数・数学科
一、精選の考え方
(一) 教材精選の必要性
算数・数学科の内容精選については指導書(文部省著)に、「………基本的事項に精選・集約して、児童(生徒)の発達段階に応じて数学的な考え方の育成にいっそう重点が置かれるよう配慮した」と明示されているごとく、現行の学習指導要領の算数・数学科の学習内容は、基本的事項に精選・集約されている。
しかし、算数、・数学科の学習指導に当たっては、
(1) 多くの教材や情報がある。これらをいかに選択するかが問題となる。
(2) 算数・数学科は、児童・生徒の個人差が大きい教科と言われる。この個人差に応じて、いかに教材を選択するかが問題となる。
つまり、基礎的でやさしい教材、応用的で難しい教材や情報がたくさんあるわけで、これらの教材や情報を系統的にとらえたり、構造的に検討したりして、児童・生徒の実態に応じて精選して取り上げる必要がある。
(二) 教材精選の観点
(1) 学習指導要領の指導内容と教材の関連をとらえる。
(2) 基本的教材(又は基礎的教材)を、単に一単位時間としてとらえるのでなくて、単元全体の見通しに立って構造的にとらえる。
(3) 児童・生徒の実態や一単位時間の学習量を考えて、基礎的な教材、発展的な教材を構造的にとらえる。
(4) 精選された単元目標、精選された単位時間の評価問題、精選された単位時間の教材を単元構造図としてとらえる。
(三) 教材精選の手順
![]()
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() |