教育福島0002号(1975年(S50)06月)-022page
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う用語が出て来るので、構造・構造化について解説してみよう。
構造という用語の統一された定義はこれといってないようである。そのためか、いろんな場面に構造・構造化の用語が出て来て、それぞれ特殊な用い方がなされている。そこで、一般に学習指導で考えられるのは、教材には教材自身がもともと持っている原理や法則によって組み立てられた構造がある。これに対して、このような構造に近い考えを持って教材や教材の要素を再構成しようとする構造化の考えがあるわけである。教材研究の立場から見ると前者は教材の原理・原則やその類似性の究明ということになり、後者はそれを踏まえた学習指導を前提として、児童・生徒の実態や思考、学習時間を考え、教材再構成を研究するということになろう。
数学科には数学の構造がある。数学の構造とは、一般に「数学のすべての体系についての共通な基本的な原理とか性質とかについての研究である」と言われ、抽象的には集合があって、その集合についての操作の条件が構造を示していると言っている。
また、大野清四郎氏は、次のように数学の構造を述べている。
数学の分野は、従来は代数・幾何、解析というように大別して考えられて来たが、これらが混在していることが多くなって来た。従って、現代数学では、このような分類とは違った観点からとらえて行く必要が生じたのである。それは集合をもとにした構造の見地である。すなわち、ある集合があり、その要素の間にある「関係」が定められており、その関係についての規則(公理)が定められているときに、その集合に構造があると言われる。このような意味で集合の構造を普通次の三つに大別している。
○ 代数的構造−加減乗除を中心とした群、環、体、整域などの概念
○ 順序的構造−大小関係、包含関係
○ 位相的構造−要素の近傍の関係(代数的構造の例)−加減乗除の演算に閉じている集合
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以上、述べて来たように、算数・数学科の教材精選にあっては、数学の構造が基本となっているので、この構造を十分に研究して、算数・数学科の教材精選がなされることを期待したい。
理科
一、精選の考え方
(一) 教材の精選の必要性
教材の精選が問題になっているのはいろいろ原因がある。その一つとして教材内容が多く、そのすべてについて探究学習を進めては、とうてい全部を消化しきれないということである。指導要領の内容には、小・中学校の児童・生徒にとって探究学習として取り上げることが難しいと思われる内容のものも含まれており、また探究学習として取り上げることは可能でも、その内容をすべて探究学習として取り上げたのでは、とうてい時間的に消化しきれない内容が盛り込まれている。つまり、現在の内容では質的にも量的にもすべてを探究学習として取り上げることはできないというのが現状である。そこでなされなければならないのが精選とか重点化ということである。そして精選するということは、たくさんある教材の中で何が最も重要なのか、その見きわめがっかなければ不可能なことでこれは教材の構造化に直結するものである。
(二) 教材精選の観点
(1) 学習理論からの精選現在なされている理科学習を見ると
1)系統学習によって科学の基本概念を指導する。
2)系統学習を重視し、科学の方法を指導する。
3)発見学習を重視し、科学の基本概念を習得する。
4)発見学習を重視し、探究それ自体を学習する。の四つに分けて考えることができる。そこでまず、指導要領の内容を1)〜4)のどの学習で行うかを区別して見ることが必要である。測定における誤差の学習や単位の任意性等の学習は、3)や4)よりも2)が効果的であろうし、小学校六年で取り扱う「金属と水溶液の変化」などは、4)の立場で学習させると極めて有効な活動が展開されよう。探究学習を重視するなら、3)4)に当てる教材をよく吟味して取り上げることである。
(2) 基本概念による精選
1) 教材の構造化を図り、教材内容を整理する。
現在の指導要領は、基本概念に基づいて内容を構成している。中学校における第一分野は、物質概念、エネルギー概念を中心概念として内容が取り上げられている。このことを踏まえて、単元または単位時間に取り扱う教材について中心概念とか基本要素とかを見いだして構造化することである。
2) 科学の基本概念に含まれる内容でも、児童・生徒の能力から見て高次なものは精選の対象とする。
(3) 科学の方法からの精選
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