教育福島0002号(1975年(S50)06月)-026page

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教えるのかといったおおよその見当がつくものである。

また、別の観点に立てば、鑑賞、歌唱、器楽、創作、そして基礎の領域の指導内容に偏りがなく、調和が保たれているかが吟味されなければならない。これは、単一教材で充足されるものなのか、あるいは、いくつかの教材を統合して初めて満足させられるものか、年間指導計画のうえで検討される事柄である。

 

三、教材精選の手順

 

(一) 年間指導計画における教材の精選

それぞれの学校には、地域で作成されたにせよ、自校で編成したにせよ年間指導計画があるはずである。

この年間指導計画を、まず領域ごとの内容面から見直し、重点的に扱う教材を選定する。例えば、小学校指導書音楽編(文部省)百三十二ぺージー百四十七ページの一覧表を用いて、担当する学年(第一学年)の鑑賞内容の3〜イは「ガボット」、「森のかじゃ」で充当させ、他の教材では別の内容を重点的に扱うなど無用な重複を避けるといった操作が必要である。

(二) 教科書教材における内容の精選

前に述べた操作を通して、それぞれの教材で学習させるべき内容が重点的に決まって来るわけであるが、音楽科では、各領域指導上、原理的な事柄が存在する。例を器楽の領域に求めると、それぞれの楽器の特性を生かした演奏技能(個々の児童・生徒の技能)と合奏する能力が要求される。従って、児童・生徒の音楽的諸能力をとらえ、当面する教材ではどの技能をどの方面に伸ばすのかを決めてかからなければならない。

まして、この領域では児童・生徒の能力的差異が見られることが多いので、同一教材でも個々の児童・生徒によって内容の程度差が考えられなければならない。

このように考えて来ると、音楽科では、教科書教材をら列的に指導するのではなく、教材による指導内容の重点化を図り、児童・生徒との出会いを大切にした扱いが大事になって来る。

 

図工・美術科

 

一、教材精選の必要性

 

図工・美術科のねらいは、児童・生徒が造形活動を通して心情を培うとともに、教科の本質的な創造性、技術性を養い、生活に生かす態度を養うものである。

従って児童・生徒に「どのような造形活動をさせ」「何を身につけさせるか」が精選の中心課題として追究されなければならない。

現行指導上の教材精選に関する問題点をあげると、

(一) 数多くの題材を配列して、その消化に苦心している。

(二) 教科書の題材を順を追って指導しようとして指導時間の不足から不徹底な指導に終わっている。

(三) てっとりばやい教材の安易な指導のみに偏し調和を欠く指導の場合

(四) 公域(基底)カリキュラムの自校化が十分でなく、題材数が多く指導の不徹底に終わる等々の点からも、教材の精選、重点化を図り、効率の高い指導が進められる必要がある。

 

二、教材精選の観点

 

図工・美術科における教材精選は、単に教材に軽重をつけたり、教科書にある種々の題材の中から比較的重要でないものを少なくして行くことと考えるのは十分でない。教科の目標に迫るためのものであり、実際の表現活動を通して、自ら学ぶための力を育てるためのものでなければならない。そのためには、

・基本的事項を系統的に抑えた指導内容であるかどうか。

・基礎的能力である創造性と、造形的な美の感覚を育てるためのものであるかどうか。

・児童・生徒の基礎能力として定着するためには、意欲的な取り組みが大切であり、そのためには地域的な面や材料、用具、枝法、環境等の面からの検討も必要であろう。

 

三、教材精選の手順

 

(一)目標のは握

教科の目標が学年ごとのねらいにどのように具体化されているかを明らかにする。

(二)内容の検討

各領域ごとの内容が、学年ごとにどのように発展し、系列化しているかを抑える。(内容一覧表作成)

(三) 従来の年間指導計画の検討

各学年ごとの指導の実際から、題材、時数等との関連で問題点を洗い出す。(地域の題材としてどうか、指導時数は適切かなどが中心となろう)

(四) 図工・美術科としての環境調査

季節、行事と造形活動とを関連づけて検討する。

(五) 教科書の検討

教科書の題材をすべて扱うとすれば、広く浅い学習となる。基本的軽重をつけ題材を選定する。

(六)題材設定

配列を量より質の深まりを考える。

 

 

 


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