教育福島0002号(1975年(S50)06月)-027page
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家庭科
一、教材精選の必要性
学習指導要領は、基本的事項の精選と集約を図って改訂され、家庭科の目標達成に必要な基本的事項が明確にされた。従って、教材の精選とは、これらの事項を取捨選択をして量を減ずることではない。学習指導要領に示されている指導事項を学習させるためには具体的にどんな題材を選んだらよいのか、内容のどこに軽重をかけて取り扱えばよいのか、家庭科の特質や児童、学校、地域の実態を抑えて研究する必要がある。
(一) 家庭科は家庭生活に焦点を当てて学習させる教科である。家庭生活は時代の進展に伴い変化し、地域によっても生活のし方は異なる。従って、目標達成に何が基本的な内容であるか、今日的意義は何であるか見極めて精選する必要がある。
(二) 家庭科は実践的態度や能力を育成するのがねらいである。従って、実習や実験を通した体験的学習をゆとりを持って楽しくやらせたい。そのためには内容を整理し系統化して軽重をつけた取り扱いができるように研究する必要がある。
(三) 家庭科は施設設備の整備、交換授業や出張授業が多く時間確保が困難であったり、条件整備の面でも問題が多い。これらの点も考慮して精
選をする。
二、教材精選の観点
(一) 内容のみに目を向けるのでなく指導計画、題材選択、指導形態、板書資料等についても精選と重点化を考えること。
(二) 教科書教材の精選をする。学習指導要領に示されている基本的事項を指導するのに、教科書で取り上げている教材そのままでよいかどうか検討する。児童の生活経験、学校、地域の実態、中学校との関連等を踏まえて精選する。
(三) 時代の進展に伴う家庭生活の変化に即応するため原理的・基本的なものであること。家庭生活に必要な便利な器具機械はどんどん更新される。これらを合理的に使いこなすため原理・原則的な内容、たとえばガスによる炊飯、手洗いによる洗たくなど。
三、教材精選の手順
(一) 目標を構造化し、明確にする。
(二) 各領域の目標、基本的内容を明確にし、その構造化を図る。
(三) 各領域における指導内容について、到達させるべきねらいの範囲と程度を具体的にとらえ、その系統発展性を抑える。
(四) 題材を選択し、内容構成に軽重をつけた取り扱いを工夫する。
(五) 指導の重点を明らかにし、課題解決の過程を工夫する。
技術・家庭科
一、教材精選の必要性
技術・家庭科では、いずれの領域の指導においても教育的価値が高く、生徒の心身の発達に即応している基礎的な技術の習得をねらいとしている。しかし、教科の性格上、社会における科学技術の発達や国民生活の変化による影響をまともに受けるので、ややもすると即物的・断片的な知識・技能が増大する傾向が見られる。従って、常に指導内容を精選する方向で指導計画・指導過程を検討することが必要であろう。
二、教材精選の観点
教材の精選に当たって最も大切なことは、教材の”構造”に着目することである。つまり教材の枝葉の部分をはらって、その根幹をなしている骨組みを取り出すこと、また、教材全体の中で各要素間の比重と脈絡を明らかにすることにある。教材の根幹をなす条件は、
○ 教材の中で、それをゆるがせにすると、後の学習が成り立ちにくいもの。
○ 教材の中で典型的なもの。
○ 繰り返してたえず現れたり、使用頻度の高いもの。等これらの条件を一つないし数個備えたものが根幹の教材であろう。
言うまでもなく、教材を精選することは、単に量を減らすことではない。前述のような観点から精選された教材として、基本的内容、周辺的内容、参考的内容というような体系が組み立てられ、基本的内容を重点として学習の秩序を図ることこそ緊要であろう。
三、教材精選の手順
表1 手順
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表2 指導内容の具体化例
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1) 技術・家庭科の目標を構造的にとらえ、教科の特質を明らかにする。
2) 各領域の目標や基本的指導内容を明確にし、指導内容を構造的にとらえる。
3) 各学年で到達させるべ
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