教育福島0002号(1975年(S50)06月)-030page

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特別活動

 

一、精選・重点化の必要性

 

特別活動の目標は、学校における望ましい集団活動を通して、豊かな充実した学校生活を経験させることによって達成を図ることができる。

このような特質を持つ特別活動を取り入れることによって、教育課程が人間形成にとって調和と統一のあるものになっている。また、学校生活に変化と秩序がもたらされ、健全な社会生活を営むうえに必要な資質の基礎を養うことができるものであるのに、教科指導に比較して一般に意識が低く、共通理解にも乏しいうらみがある。

そこで、特別活動の「精選と重点化」に当たっては、全員の共通理解を第一とし、次の観点によって、計画と内容の両面から検討する必要がある。

 

二、精選・重点化の観点

 

(一) 学校の教育目標と特別活動の内容との関係は適切であるか。

(二) 児童・生徒の発達段階、学校や地域の実情との関連を図っているか、

(三) 内容相互関連を図っているか。

(四) 他領域との関連を図っているか。

(五) 個々の児童・生徒の指導とのつながりを考慮しているか。

(六) 児童・生徒による評価について計画しているか。

(七) 授業時数が適切に配当されているか。

特に、学校行事については、地域社会の要請等と関連するものについてはその教育的価値について慎重に検討しいわゆる持ち込み行事などのために学校全体の教育計画がゆがむことのないよう留意すること。

 

資料紹介

 

◇「教材の精選」(第一集)

郡山市教育委員会発行

 

この研究資料は、郡山市教育委員会指導主事及び学校教育指導委員三十五名の手によって研究されたもので、

○ 教材の精選とはどんなことか。

○ なぜ教材の精選について取り上げたのか。

○ 実践の観点。という大きな三本の柱を立て、それについての実践研究の結果が集約されたものである。研究概要について紹介すると、最初に、「教材」とか「精選」という用語を明確にとらえ、併せて、教材の精選とはどんなことかを各種文献をひもといて、それを紹介したり、この研究の立場から教材の精選を「基本的なもの・本質的なものをもとにして、教材の構造化を図り、学習の効率をあげること。」と定義づけたりして、現在の学習指導において、教材の精選の必要性を力説している。このようなことで、この関係の研究によりよい示唆を与えている。また、各教科、道徳、特別活動、生徒指導、特殊教育、視聴覚教育の各分野にわたっても、それぞれの立場で教材の精選についての考え方を明確にし、小・中学校別に、一、二の具体例が載せてあるので参考になる点が多い。最後に、この研究に敬意を表するとともに第二集に期待したい。

 

◇「指導内容の重点化をどのようにすればよいか」

 

◇「指導内容の重点化をどのようにすればよいか」

福島市中学校長会編

 

序文で会長(天野幸夫氏)は、学校教育の本質の究明を「今、学校でしかやれないことは何か」という観点から1)学び取り方を学ばせること 2)学習意欲を盛り立てること 3)望ましい社会集団の生活の知恵を生み出し育てることであるとしている。そこで、「どうしても、学習指導内容を精選、吟味して、ゆとりのある教育課程を編成しじっくり考えさせ、練り上げて行かなければならない」ということになり、そのためにこの冊子が編集された。

内容は、1)指導内容の重点化の基本構想 2)教材研究のポイント 3)指導内容重点化の事例の三部に分かれ、国語、社会、数学、理科、英語の五教科について、それぞれの教科の特質に応じて、目標−教材−指導過程の改善と実際例を出して解説しているから、先生がたにもわかりよいものとなっている。

“重点化のねらい”の中で、「精選は学習の主体者(生徒)の一人一人に真の学力が身につくようにするのだという目標を抑えることだ」と述べているが、重要なことだと思う。

この事例がそれぞれの学校の実践の中で生かされ、研究部等で討議され、更に充実したものとなることを期待したい。

 

 

 


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