教育福島0002号(1975年(S50)06月)-044page

福島の文化財

　

未指定

　

木造薬師如来座像　一躯

会津坂下町大字船形字北杉大道上

　

薬王寺

　

像高六十八センチメートル。元緑十五年壬午の修理銘によれば、古来行基菩薩の作と伝えられて来たという。螺髪小さく、切れ長の彫眼を薄く開くとか、左肩から腹部に流れる衣文の彫刻が浅く流麗で、ひざが低いとか、藤原時代の様式が残っている。しかし、やや細おもてで相ぼうが引き締まっている点から、時代はやや下り、鎌倉時代初期の造立と考えられる。

修理は比較的まともで、全体を損うことはないが、肉身を彩る質の悪い金泥はいただけない。

日光・月光・十二神将・四天王ともにそろっているが、いずれも後世のものである。

薬師如来は、会津に残る鎌倉初期の彫刻として注目すべきものである。