教育福島0004号(1975年(S50)08月)-006page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

=論説=

 

=論説=

教育工学的な考え方

福島女子短期大学助教授 佐藤 順一

 

はじめに

 

教育工学、教育のシステム化が叫ばれている中で、多くの教師たちは、今なお教育を、人間と人間の生きた関係の中で醸造される何ものかであると考えている。そしてそれは、長い経験と教育愛の賜物だと見る考え方が根強く残っている。もちろん、教育の中から人間関係を追放することもできないだろうし、またそうなってはならないものだと思う。

しかし、教育の機能とその作業過程を考えた場合、どのようなベテラン教師も教育の失敗を体験しなかった者はないだろう。そして、教師のだれもが効率的で失敗のない教育方法がないものかと考えてきたはずである。そこで考えられたのがコンピューターのような工学的方法の教育への導入である。あるいは、コンピューターのシステムそのものを教授=学習過程とみなすような教育工学的システム化の導入なのである。工学はそのシステムを実験的にテストし強化することができるし、人間教師の運命的な記憶の誤りや、感情的振幅に支配されることもない。また機器の導入は教師の授業における作業過程を単純化し、効率を高めることもできる。こうした有効性が教育への工学的応用を多くした原因であろう。

教育工学は、その研究の対象を単なる機器の利用ということに限定されるものではなく、教育の目標、教育内容教材、教具、教育機器、教育環境、児

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。