教育福島0004号(1975年(S50)08月)-014page

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オーバーヘッドプロジェクターの特性

オーバーヘッドプロジェクターの特性

 

OHPは近年盛んに学校教育に導入され、オーバーヘッドの名の示すように、文字どおり資料提示者の頭上を越してスクリーンに拡大投影し、学習指導等に活用されてきた。

その代表的な特性は、次のようにまとめることができよう。

一、明るい教室でも鮮明な映像が得られる。

この特性は、暗室から来る児童・生徒へのさまざまな心理的影響を除くことにもなり、映写中にメモができるなど他の活動を容易にするという教育効果にもつながる。(スクリーンに直射日光が当たっては映写効果が低下する)

二、学習者と対面したまま教材提示したり操作することができる。

このことは、児童・生徒の反応を観察したり、確認しながら学習指導を進めることができるという利点に結びつく。

三、いろいろな教材を投影することができる。

OHPは、プラスチックシート、セロハンなど透明なものに書かれたものや、透明、半透明又は不透明な板で作られた模型も投影することができる。

透明なシートに書かれたものは、重ねても投影できるので、変化する様相を次々に提示することができる。

また、試験管やフラスコ内の化学実験の変化なども、工夫によってはその進行過程とともに投影できるという特性を持っている。

四、ある程度の動的表現ができる。

OHPのステージ上のシートを操作したり、セロハンロールを巻き取ったり、あるいは、偏光紙と偏光板を使うことなどによって、映像の一部又は全体に動きを加えて表現できる。

五、スライドフィルムの投影ができる

OHP用に特に作られたアタッチメントを使用することによって、三十五ミリのスライドフィルムを拡大投影することができる。ただし、現状では必ずしも満足できる鮮明な映像が得られにくい欠点もある。

六、ステージ面積と拡大率との関係が適当である。

OHPの拡大率は、投影距離二メートルで五〜八倍ほどであり、スクリーン上に一・二五平方メートル以上の映像が得られる。このことは、OHPを教卓の近くにおいて投影しながら黒板を併用したり、他の資料を使ったりする教師の活動を多様にする利点につながる。

また、投影資料の作成は、ノートに記入する要領でできること、参考資料から図や表を直接複写してシートを作ることもできる。

これらのことは、シートを容易に自作できる要因でもあり、日常性につながるものである。

七、児童・生徒の参加が容易である。

OHPは操作が簡単なことと、投影資料を載せるステージが割合い広い上に水平であることなどから、小学校下学年でもその使用が容易である。したがって、児童・生徒がOHPを使って自分の考えや意見を述べることができるという利点を持っている。

八、他の教育機器と併用することによっていっそう効果をあげ得る。

OHPの場合は同時併用を制約する条件がないので、音声や映像を提供するもの、あるいは反応分析装置などの機器と併用して教育効果を高めることができる。

 

※ OHPの光軸がスクリーンに対して垂直な場合正しい映像が得られる。

OHPは近距離拡大投影であるため、わずかの狂いも大きなひずみとなって投影される。したがって、スクリーンを高目にする場合には、図のような設定への配慮が必要である。

なお、デイライトスクリーンを用いる場合は、両サイドの者が見にくくないかを確かめる必要がある。

 

 

 

 

 


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