教育福島0004号(1975年(S50)08月)-016page
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四、まとめ
地理・歴史的内容を扱う場合、TPの合成分解法は発達過程や事象の変化をうまくとらえ、理解を深めるために効果的である。
OHP・TPの活用に当たってTPを目標行動・下位目標行動・プロセスフローチャートに位置づけることによって内容を明確にし、指導の効果をあげることができる。特に統計資料などの提示については「どこで、どんなものを」ということを位置づけることが必要である。
OHPを活用することにより生徒の学習意欲が高まり、思考力がつき理解の定着を図る上にも効果的である反面情報提示の面で能率的効果的に流れるのはよいが、生徒のノートの取り方に困難な点もあり、今後、TPとノートとの関連において改善・工夫を加えなければならないと考えている。
(教諭 佐藤憲旺)
□考察□
この事例から学び取る点を端的に表現するならば、授業をしくむ中で生徒の思考する過程を予測してOHPを積極的に活用した点と、シート作成に独特の手法を用い、しかも、提示の時機や方法を慎重に考えていることである。
特に、フィードバック情報の提示が適切であり、学習指導における刺激→反応→確認→強化といった回路の成立を図るために活用した点は、これからの授業展開に当たって、多くの示唆を与えている。反応分析装置を使うことにより診断を強化し、次のステップの刺激を修正したり、治療的指示や解説を試みることを、次の段階で考えてもよかろう。これは同時に、指導の自己評価の場が確立され、次のステップヘの要素を正確にとらえることにもつながる。
次に、OHP表現手法であるが、オーバーレイ法と呼ばれる合成分解が、生徒の思考の展開や理解度に即応して単純化(分解)したり、複雑化(合成)したりして自由にコントロールしている点は、学習の効果を高めるために必要な手法と言える。
マスキング法と呼ばれる手法は、遮光すること(部分提示)、覆いを取りのけること(全体提示)によって、生徒の注意の集中化や印象的に理解を助ける提示法として推奨したい。なお遮光用マスクに有色透明板を使用することも一方法であることを付け加える。
実践例
音楽科における活用
いわき市立平第五小学校
一、高学年の旋律創作指導の実践
音楽の領域別の好ききらい調査をしてみると、「創作がきらい」という児童が案外多いのにびっくりさせられる。
これは今までの指導領域にかたよりがあったこと、低学年から系統的な創作学習の積み上げが乏しかったこと、特に即興表現を重点的に学習してこなかったことなどの原因が考えられる。
そこで、どうしたらこのような児童にも興味を持たせながら、しかも限られた時間の中で効率的な指導ができるだろうかと考え、「OHPを活用した系統的な創作指導」の計画を立て実践してきた。
(一) ねらい
児童の実態に応じて系統的に創作指導を行い、まとまった旋律(一部形式など)を作ることができるようにする。
(二) 方法
○音楽の時間の中で、年間を通して系統的に指導する。
○OHPを利用して、効率的に指導する。
○指導対象学年は五、六年とし、音楽クラブなどでも随時指導する。
(三) 指導計画案(他の領域と並行)
〇第一次(リズムカード作り)資料(一)
OHPで活用したシートの例
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○第二次(聴音記譜)
○第三次(続きの節作り四小節)
資料(二)
○第四次(続きの節作り八小節)
〇第五次(言葉に合ったリズム)
シート1)
○第六次(一部形式の創作)
〇第七次(良い旋律さがし)
シート2)
○第八次(曲の形式)
資料(三)
○第九次(整った形の旋律創作)
○第十次(創作の仕上げ)
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