教育福島0004号(1975年(S50)08月)-018page
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一、はじめに
音楽科において、教育機器、特に光学機器の使用は、創作の領域等ではその有効性が最高度に発揮されるが、音そのものを追求するこの教科にあってはその活用にはよほどの注意が必要であることは論をまたない。
すなわち、学習上の基本的な点(楽典・楽式的なもの)の理解や問題解決のポイントを集中的に効果的に子供に印象づけることがあげられる。
しかし、一般的には、とかく教師が中心となりすぎたり、教科書に全面的に依存する形の学習が多く見られたりして、刺激に対する子供の反応を大事にすることや、子供に豊かな経験の場を多く与えてやることが忘れられてきたように思われる。そこで、子供たちに「より刺激的・より集中的な学習」を進めていくために利用したTPと、その利用事例を二、三紹介して参考に供したい。
二、基本的な点の理解(曲の形式と和音進行)
(一) 形式の理解(一部形式・二部形式同形反復等)
音階の理解と同じく、「曲の形式の理解」も、音楽を学習し、音楽を知る上で大切なことである。写真1)2)で見られるように形式の理解でTPを使うことによって「続く感じ(半終止)」や「終わる感じ(終止)」を視覚及び聴覚の両面より理解させることができる。
また、リズム進行が複雑になってくればTP活用の必要性が納得できると思う。
(二) 和音進行の理解(和声進行とけん盤図の理解等)
歌曲や器楽曲の美しさは「和声の進行」による曲の成り立ちで、この指導については低学年より毎時間意識的に学習させる必要がある。TPもカラーシートやカラーペンを使用して《IVIVI4)IV7I》と和音記号や《CGCFCG7C》とコードネームを子供に記入させたりして使用することができる。写真3)は五年生教材「星の世界」で使用した例である。(ペン使用)
三、応用発展的な利用例(節作りによる児童の利用等)
(一) TP利用の節作り(創作)
自分で作った「ふし」をOHPを使ってみんなに見せ、演奏してもらうときの子供の顔は実に生き生きと輝いている。その上、基本的な点の理解と違い、多くの利点がある。シートは半分に切って便りようにし、水性ペンを使えば書き直しもでき何回でも使用が可能である。また、ベースになる五線は、油性ペンを使い学級の係の子供といっしょに手分けして準備をする。また、一度作れば一学期間ぐらいは使用可能である。写真4)は児童用の半切TPで自分で作った一部形式の節を発表しているスナップである。授業で「ふし」を練り、節作りの楽しさを実感として子供たちは身につけている。
(二) 節作りの練り合い一創作の共同批正)
節作りでは、形式にこだわらず数多く作らせ「まとまりのある節作り」にするため相互に比較させながら、より美しい節が作れるようにしている。
子供たちは初めはあまり喜ばなかったが、回を重ねるにしたがって進んで自分の作品を発表するようになった。自分の曲がみんなの演奏と話し合いで美しい曲になるので最近では美しくまとまった作品も見られるようになった。
このようにしてTPでまとまった節は、子供たちの「創作ノート」に清書され、折にふれて、「思い出の作品発表会」として実施している。
(教諭 紺野靖二)
TP使用のアイデア
基本的事項の理解及びふしづくり(創作)例
相馬市立中村第一小学校
1)
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4)
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