教育福島0004号(1975年(S50)08月)-019page
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() |
アナライザーの特性
![]()
指導過程のいくつかの段階で、児童・生徒の理解度を客観的に確かめ、教師の働きかけに対して、的確にその反応をとらえて、発問や問題提示の仕方を工夫し、児童・生徒に思考させたり、作業させることは授業の効率化という点から大切なことである。
一般に、児童・生徒の理解度の確かめや反応のは握は、挙手をさせたり、児童・生徒の表情の変化やうなずきによって判断している実情であるが、いくつかの問題がある。
例えば、
○ 内向性の児童・生徒は、とかく分かっていても挙手することができなかったり質問があっても挙手できないということが多い。
○ 表情の変化や一部の児童・生徒のうなずきぐあいによる判断は、あいまいで、確実な判断とは言えない。
このような学習指導上の問題に対して、ANの果たす役割は大きいものがある。次に、その特性について述べる。
一、ANの特性
ANには、回答器(子機)と本体(親機)があって、回答器には三〜五の選択しの押しボタンがまたはダイヤル式では表示窓がついている。そして、その一つ一つの選択しは、本体の回答表示パネルと接続されている。そこで児童・生徒は口答や挙手の代わりに、教師の発問や提示に対して、この選択しによって回答するわけである。
そのため、
(一) 全員が反応するので、内向性の児童・生徒についても的確に確認することができる。
(二) 個人ごとの理解度を即時的、数量的には握することができる。
(三) それぞれの選択しごとの人数なり回答率を数量的に読み取ることができる。
(四) 回答結果を即時、フィードバツクすることができる。
(五) 指示と反応が一対一の関係になっているので、全体の中の個人をいつもとらえていることができる
(六) 指導過程において、話し合いの結果のチェック等により、プログラムや授業内容の適否の判定・修正を行うことができる。
(七) 記録装置を連結してあるものでは、その回答結果を即時自動的に記録したり、反応を時間経過に上って記録することができるので、記録中、記録後において、個人、グループ、問題別と多方面からの分析が可能である。
その他、児童・生徒は、挙手や口答で発表する代わりに、三〜五の選択しで反応できることから、内気な児童・生徒も他に知られずして反応することができる。また。質問する場合でも、「質問あり」の信号を教師だけに送ることになるので、練習問題などの学習においても遠慮なく教師に質問することができるなどのよい面がある。
二、ANの学習指導における使用上の配慮事項
(一) 学習指導にANを使用するにはなによりもソフト研究が大切なので、一時間の授業過程の見通しを持って「何を」「どのように」チェックするのか、事前に教材研究をして、設問等を作っておくなどの必要がある。
(二) ANは万能ではないので、挙手や口答発表等も併せて使用することが学習の効率化からいって大切である。
(三) ANの劣っている点は、提示機能を持っていない点であるので、OHP等の併用で、その特性を生かすことが大切である。
(四) 一時間の授業中、ANで何度も記録するということは、児童・生徒をして極度の緊張感と不和感を持たせることになるので記録回数に注意することが必要である。
以上、ANの特性と使用上の配慮事項を述べたが、ANがなくとも四角すいの反応器を工夫したり、筆箱の出し入れで、この考えを授業に生かしているのを見るが参考にしたいものである
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() |