教育福島0004号(1975年(S50)08月)-020page
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実践例
社会科における活用
郡山市立金透小学校
本校では、六年前から「学習意欲を高める指導法の研究」をテーマとして実践、研究を続けている。その中で問題解決学習の指導過程を、課題は握、課題追究、結果確認の三つの段階としてとらえ、指導している。
そこで、単元「奈良・平安時代」の一時限目の展開を通して、教師が相反する事実の提示により、児童一人一人に疑問を持たせたり、更に集団思考によって、共通の課題を設定する課題は握の段階でアナライザーを使った事例について紹介したい。
一、アナライザーを使うことのねらい
児童の学習課題が話し合いによってどのように変容し、共通の課題になるかを数的にとらえたり、そこで、話し合いに参加できない児童をチェックし個別指導をするなど、共通の課題を全員につかませようとした。
二、学習指導の実際
(一) 学習指導案(下記にあげる)
(二) 選択しの作成について
アナライザーの使用で大切なのは、どのような選択しを作成するかにある、そこで、この授業では、学習課題の設定のための選択しを次のようにして作成した。
今までの学習で立てた学習課題や、奈良時代の事前テストから児童が考えると思われる学習課題四つと、どれにもあてはまらない児童の学習課題をその他として、五つの学習課題を作成した。次は、その課題である。
1) 奈良時代に、大仏をだれが、どのようにして作ったのだろうか。
2) 奈良時代は、だれがどのように支配し、人々はどんな生活をしていたか。
3) 奈良時代は、なぜ農民の生活が苦しかったか。
4) 奈良時代は、大仏ができたため農民の生活はどのように変わったか。
5) その他
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三、アナライザーの活用の実際
変容していく過程を、指導過程3「学習課題を立て、話し合う」で、具体的に述べるとする。共通の学習課題を立てさせるため、アナライザーで記録を五回取り、話し合いをさせた。次の1)から5)は、記録と児童の話し合いの内容である。
1) ここでは、奈良の大仏と農民の暮らしについて話し合ってから、学習課題を立てさせ、児童の反応を記録した。その結果、教師が意図した課題(2)は、七名で、その他の(5)が十五名と最も多かった。その内容は、五つあったが、述べられている趣旨は、だいたい同じなので、次のように学習課題を設定した。
「だれがどういう理由で大仏を作ったか。この大仏と農民のつながりはどのようなものだったか」
更に共通の課題を設定するために、更に話し合いをさせたら、(2)と(5)の学習課題について、意見が多く出た。
「その他の中には、農民しか出てこないので、(2)の課題がいい」
「奈良時代は、大仏と農民を調べれば学習すべき内容が出てくるので(5)の課題がいい」
このとき、アナライザーで反応を記録し、結果を児童に発表する。
2) 更にここでは、その他の課題が二十八人と倍近く増えた。これは調べやすい課題として受け取られたためと思う。話し合いの内容は「大仏から入ると、政治のほうも調べることができる」「奈良時代を全部調べるには(2)の課題のほうがいい」
(2)と(5)の話し合いなのに、(1)と(4)の反応を示した児童がいたために話し合いをした結果が3)である。
3) ようやくここで、全員が(2)と(5)の話し合いに参加するようになった。今まで、大仏ばかりにとらわれていたなどという意見で、(2)の課題を示す児童が増えてきた。
4) ここで、(5)から(2)へ自分の考えを変、えようかどうか、迷っている児童が増えた。じゅうぶんに時間を与えた結果、(2)の課題を示した児童が過半数を越えてしまい、その結果を発表した瞬間、児童から拍手がわきおこった。これは全児童が共通の課題を設定するために参加していたためと思われ、最終的には、5)の結果となり、教師が意図した学習課題に落ち着いた。
四、アナライザーを使って
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