教育福島0004号(1975年(S50)08月)-021page
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話し合いの変容(人)
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児童一人一人が、すぐに決断を迫られて、話し合いに参加せざるをえない状況に立たせられたことがアナライザーの記録から分かり、アナライザーが一人一人の児童を生かす授業に有効であると考えられた。2)の結果では(5)と(2)の話し合いをしていたのに(1)と(4)の反応を示した児童が四名いた。
これは、自分の考えを持っていたのに、話し合いに参加できなかったことを示し、後で、記録用紙から、氏名が分かり個別指導を行った。更に記録用紙から、だれが、どの場面で変わり、その様子は、機器の点滅から、迷いに迷っている状態が見受けられ、児童一人一人の変容の様子が記録されている。それで共通の課題設定のため、全員が授業に取り組んでいた。最後に、アナライザーを使用するときに思うことは、選択しを作るとき、どういう予想を立てたらいいか評価の際には、評価項目は何にしたらよいかということである。五つのわくの中で、児童の考えをじゅうぶんに生かすのには、ふだんから児童をじゅうぶんには握しておくことが大切であると思った。
(教諭 尾形正承)
□考察□
話し合いに参加できない児童・生徒は、どのような授業の場面にも見受けられるものである。この実践例は、このような問題解決をANに求め、児童の反省を巧みにとらえ、どの児童も学習に参加させるのに成功した一例であろう。この実践例からANの特性がよくとらえられる。
しかし、ここで注意しなければならないことは、ANに振り回されてはならないということである。いかなるときでも教科の本質を忘れた授業になってはいけない。
この実践例については指導過程の12の段階で課題は握にじゅうぶんな資料が提示されているのであるから、五つの選択しを与え、その中から選択させなくとも、児童自身が、自ら作り出すことができないだろうか。またこれを作り出させるのが本質ではなかろうか。そこで、いくつかの課題が作り出されて、それを一つに集約するような場合、ANの特性を生かして、事前に児童の反応をとらえたり、それを基に個別指導をしながら、教師と児童がいっしょになって練り上げて行く学習を大切にしたいものである。また、このことが、この学校のねらいとしている「児童に学習意欲を高める指導」にもつながるものと考える。
実践例
数学科における活用
耶麻郡塩川町立塩川中学校
一、はじめに
本校にアナライザーが入って現在三年目を迎えている。数学科としては、その特性を生かすことにより、個々の生徒の実態をは握し、それに応じた指導の充実を図りたい。また即時のフィードバック機能の活用により、適正な理解を得させたいとの願いから、いちはやくこれに取り組み、各領域にわたっての活用に努力している。
主な活用の場としては、
○レディネステストの実施
○学習課題についての反応の分析
○個々の学習進度のは握
○学習事項の理解の状況のは握等であり、一単位時間の中で、3回から5回くらいの使用を一応の基準として授業を進めている。
ここでは、一単位時間の中におけるAN使用の部分を取り出し、その効果等について述べてみたい。
二、実践例1
まず、二年教材の「命題の真偽を集合を基盤として理解させる」指導に用いた例をあげる。
(一) 学習課題 「χが8の倍数ならば、χは4の倍数である」は真の命題だろうか。
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課題分析の項は、本時の中心の部分であり、次の事項についてANを用いて個々の生徒の理解を確かめながら展開した。
1) −8、0、8……などは8の倍数の集合Aの要素であり、かつ4の倍数の集合Bの要素である。
2) 集合Aは集合Bに含まれる。
3) 集合Aと集合Bの関係はA◆Bである。
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