教育福島0004号(1975年(S50)08月)-027page

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資料

 

用語解説

 

■教育工学

 

教育工学と聞くと、工学の「工」の字にひっかかって、教育の中に機械を持ち込んで、教育の効率を上げることであるという印象を受ける人が多いがそれも教育工学の一部分ではあるがすべてではない。

教育工学とは、教育目標の達成のために、教育過程に携わる構成要素−教師、子供、教材、机、黒板、教室の飾りつけ、教師の活動、例えば質問、発問、説明、評価など−をうまく組み合わせて教育効果を高める研究であるということができる。

したがって、教育工学の研究分野には、教育機器を使って教育の効果を上げようとする分野と、行動科学的教育工学と言われる研究分野、すなわち、授業のプログラムとか、教えるときの集団をどのように組んだらよいかとか子供の適性に合わせた指導法をどうするかというようなことを研究する分野と、人間工学的な知識を利用して、有効な施設、設備、教材、教具を開発する研究分野の三つがあると言われている。

 

■教育媒体(教育メディア)

 

教師と子供の教授、学習過程の中でコミニュケーションの内容をのせて、相手に伝達する媒体となるもので、情報提示に関しては、聴覚的なもの、視覚的なもの、視聴覚的なものがあるし反応を伝達するには集団反応装置まで入れて考える場合がある。だから、教科書、スライド、テレビ、プログラムブック、CAI、反応装置などが教育媒体でこれには、ソフトウェアに属するものとハードウェアに属するものとがある。

 

■教育システム

 

教育目標を達成するために、諸要因を組み合わせることによって、教育目標への最適化を図る組織である。

今までの教育観からでは、ただ経費をかければそれだけ教育効果も上がるであろうと考えられていた面を反省し教育目標を達成するために、教育の効率化に着目して、教育の工学的な観点から組織的、系統的に教育の構造化を図ろうとするものである。

 

■CAI(computer assisted instruction)

 

コンピューターを使って提示装置を制御し、教師の教授活動のほとんどを代行させようとする個別学習指導のシステムであり、ソフトウェアとハードウェアによって構成される。ソフトウェアには二つあり、一つは学習のプログラムであり、もう一つはコンピューターのためのプログラムである。

また、わが国のCAIシステムは個別用と集団用に大別され、個別用はスライダーとタイプライター、集団用は集団反応装置を学習用端末として使用しているのが大部分である。

 

■ソフトウエア

 

最初はコンピューターを活用するためのプログラムに関するシステムサービスを意味した。

それが教育界に導入され、視聴覚教育、機器利用の教育において、機械部分をハードウェアと呼び、それにかけられるプログラムや内容面をソフトウェアと呼ぶようになった。

伝統的に教材と言われているもの一般をソフトウェアといっている人もある。

 

■フローチャート

 

コンピューターの操作手順を、記号を利用することによって図形化したものをフローチャート、又は、流れ図と言っている。最近では、学習過程を明確に表現するため、箇条書きの指導案に代わってフローチャートの手法を活用するようになった。その利点として

1) 指導の内容や順序、方法が明確になり、授業分析に役立つ。

2) 評価が計画的、意図的に行われ一方通行的な指導が避けられる。

3) 評価の結果による学習コースの変更も計画される。

などであるが、反面、問題点としては教育活動はコンピューターとは違って反応は画一的でなく、多様性のある反応に対して精密なフローチャートを用意してもかえって実際的でない場合が多い。したがって、いっせい授業でのフローチャートは、自由度のあるゆとりを持った構成が実際的である。

これからは、教育実践の場に教育機器が導入され、それが単一機器ではなく、それぞれの特性を生かした数種の機器の複合利用の傾向を持ってきている。その指導過程をシステム的な考え方で検討するためにも、フローチャートは有効な役割を果たすものと思われる。

 

■半自動システム

 

全自動学習システムに対応して、学習サイクルの中で教材の提示だけを自動的に行い、学習者の反応のキャッチとチェック及びその反応に対する次の教材の選択は教師が行うしくみのものを言う。

 

▼参考文献▲

第一法規「実践教育機器用語辞典」有光成徳他編

明治図書「一問一答教育工学入門」坂元昂編著

 

 

 


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