教育福島0005号(1975年(S50)09月)-015page

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していくものであろう。また、この過程には、生徒の主体的活動を中心として進める場合と教師によって準備された一定の軌道に沿って、実験の定量的取り扱い、データの処理と結果の考察など、いくつかの科学の方法を取り扱いながら学習を展開していく場合が考えられる。

(一) 学習指導の設計

(生体内の化学反応と酵素について)

(1) ねらい

この単元の学習は、生体内で起こる化学変化が、原形質という絶えず変化する物質系の中で営まれておりその複雑な化学変化は、酵素を媒体として一定の秩序をもって行われていることを理解させることがねらいである。

また酵素とその作用については、酵素の働きが温度や出などと深く関連していること、酵素の基質特異性などを実験を通して理解させることが大切である。

 

(2) 目標分析

 

(2) 目標分析

授業を進めるに当たっては、学習指導要領、教科書などにより、単元のねらいを具体化した内容目標(学習すべき概念の構造)を上位概念→下位概念→基本要素の順で構造化しそれらが能力目標とどのように関連しているかを明確にすることが必要である。

 

 

 

(3) 学習の流れ

 

(3) 学習の流れ

学習展開の流れには、次の二つの形態が考えられるが、いずれの場合も、教師の活動の場、生徒の活動の場を明確にすることが大切である。

〔1)〕の流れにおいては、カタラーゼなどの代表的な酸化還元酵素を教材として、その特性を比較定性的に調べる実験を取り扱い、実験の方法や条件制御の方法、及び数量的扱い方などに重点を置いて指導し、併せて実験操作法やデータの収集処理など、いくつかの科学の方法を習得させることをねらいとし進めることが考えられる。

〔2)〕の学習の流れをとる場合は、酵素の特異性を基にして、比較定性的実験方法や条件制御の方法について探究的に考察させ、それに基づく検証実験を行い、後、データを基にして推論し、酵素の生物学的特性についてまとめさせるような展開となろう。

(4) 留意点

〔1)〕の学習の流れをとる場合は、教師の指導計画に従って学習が進むことになるので、限られた時間の中で進める方法としては効果的であるなおこの場合は、生徒の活動の場を十分生かし、科学的思考力の育成を図るよう配慮することが必要である。

〔2)〕の探究の過程を柱とした指導法は、かなりの時間を必要とするので年間計画を検討し、最も適切な教材について、十分教材研究がなされた上で実施されるべきである。

三、教材の精選について

(一) 教科書の検討

学習指導要領では精選の趣旨にそってかなり簡潔明瞭になっているが、出版されている教科書は、枝葉の内容が肉付けされ、詳しいもの、又は高度なものなど多様である。したがって採択に当たっては、十分に比較検討し、生徒の実態にあったものを使用することが必要である。

(二) 基本概念との関連

理科学習における基本概念を軸として、基本要素を選び出し、更には諸概念相互の関連を十分に配慮することにより指導内容全体の構造化を図ることが重要である。例えば、生物においては、多様性について理解するとともに生物に共通する同一性にも目を向ける必要がある。更にこれらの基本概念は生命の連続性や進化の概念にも関連している。理科の指導においては、このように概念相互の関連を十分配慮し、構造図などを作成して検討することが効果的である。

(三) 科学の方法との関連

自然の事物現象を調べるためには、観察・実験・予測・推論・仮説の設定・検証など、科学の方法が用いられるわ

 

 

 


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