教育福島0005号(1975年(S50)09月)-020page

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その中から学習が発展するよう配慮することによって、教室に、humanizedatmosphereが生れてくる。

 

五、授業

 

生徒の心に潜むcuriosityを刺激し、intrinsic motivationを強化することによって、学習意欲の減退を阻止するのが授業の進め方の基本的態度である。

一時間の授業で、生徒の消化できるポイントは、5±2と言われているが英語の場合は3±2が適度であろう。

学習指導要領に示された言語活動を十分に取り入れるために、指導が絶えずfrom manipulation to commnicationとなるように配慮しなければならない。

Communication implies noveltyと言われており、noveltyがcuriosityを刺激するのは当然である。

指導過程は毎時間同じである必要はない。指導内容をcommunicationの見地から検討し、重点化を図ることによって言語活動に当てる時間をとるべきである。

言語活動は、聞いてわかることから始まる。いわゆるacoustic imageが、すべての言語活動の基礎となるので、教師によって、あるいは、録音教材によって、正しい英語を聞かせわからせることに重点を置くべきである。

視覚による読み書きは、音声を通しての理解力、発表力が伴わなければ、真の力とはならないであろう。

 

家庭科

 

家庭科食物学習における実験・実習の指導

 

一、はじめに

 

高等学校における食物に関する学習のねらいは、日常生活における栄養や調理に関する知識と技術を習得させ、献立が立てられ、それに基づいて食品の購入や調理ができて、食生活を栄養経済、能率、衛生の面から、より合理的に経営できる実践力を養うところにある。

この目標達成のため各学校においては、指導法等の改善を行い努力されておるところであるが、昭和五十年度、高等学校教育課程福島県研究集会家庭部会で、研究協議された実験・実習の指導について述べ、効果的指導の手がかりとしたい。

 

二、実験・実習指導の重要性

 

改訂学習指導要領では、家庭に関する科目の指導に当たっては、実験・実習などの実践的活動を通して、必要な知識や技術を十分に習得させること、また、実験・実習を通して、応用性、転移性に富む知識や技術を総合的に習得させること。仕事を合理的に処理する能力、仕事をする上での正しい観念や態度を養うこととされ、実験・実習が一層重視された。

一方、家庭科の指導を教育の現代化の観点に立って考えるとき、生徒の自主的学習姿勢を育成するための学習指導や、豊かな創造的思考力を育てるための学習指導が必要となってくる。

しかし、現実には教材内容が多く、教師は短時間に多くの知識や技術を伝達することのみに追われ、講義による教師中心の授業となり、生徒の学習意欲を低下させることにもなる。

この点を改善し、新しい家庭科教育を志向するためには、教材内容を質的量的面から精選し、発展性のある基本的内容に絞り、ゆとりある時間の中で生徒に十分活動させて、必要な知識、技術を習得させる方法、すなわち実験・実習の指導が重要である。

 

三、実験・実習の指導について

 

(一) 実験の指導

実験学習の目的は、理論を実証するために、又は、理論の構成のために、一定の条件設定の下に対象に変化を与えてこれを観察処理し、その過程を通して、科学的思考力や判断力、一つの事象を概念化する能力、分析・評価する能力等を養うとともに、計画性、緻密性、創造性などの育成を図ろうとするものである。すなわち、実験による学習は、概念や法則の実証的認識の側面を持つとともに、その過程を通して得られる人間形成的な側面の価値も大きい。

従来の家庭科教育においては、製作実習に重点が置かれ、その裏付けとなる理論に基づく実験の占める割合が少なかったように思われる。今後は実験も多く取り入れ、生活事象の一つ一つを確実に身につけさせ、実験観察の過程を通して科学的思考力、計画性、創造性、緻密性を養いたいと考える。

食物に関する学習では、次のような実験が考えられよう。

(1) 栄養実験

栄養理論の科学的裏付けを目的とする実験

(2) 食品分析実験

食品の分析、栄養価の認識を目的とする実験

(3) 食品の性状に関する実験

食品の性状、特質の理解を目的とする実験

(4) 調理操作に関する実験

調理法の要点は握を目的とする実験

以上の実験を科目の目標と生徒の実態等を考慮して取り上げ、指導の効果を高めたいものである。

(二) 実習の指導

実習は作業的経験を通して、知識・技術を習得させ、家庭生活や一般社会における生活に関する諸問題を解決し、充実向上させていくための実践的能力を育成する方法である。

生徒自らが具体的経験を通して学習することにより、作業の全過程を理解し、また、実習を通して計画性創造性・繊密性が育てられ、観察力判断力、実践力なども育成される。

 

 

 


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