教育福島0005号(1975年(S50)09月)-023page

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る、HPやSP、類型別専攻学習等を学習指導体系の中に位置づけ、効果的、かつ効率的な学習が進められるようすみやかに転換を図るべきである。

なお、今後における農業の進歩や、技術の発達を考え、これに対応して、記憶学習から思考学習、模倣学習から創造学習、いっせい学習から学習の個別化の方向等、将来を担う農業人育成のため絶えざる研究と努力が求められる。

 

四、新しい農業教育への要請

 

今後における農政の方向や農業の推移、特に技術革新の歩み等を看過することはできないが、現在、太平洋ベルト地帯、北九州一帯の公害(自然破壊)によってもたらされた損害は、計り知れないものがあり、民族の未来に重大な影響を及ぼしていると言われている。

したがって、今後における技術革新の方向は、農業の本質である「生の論理」に立脚した人間生存の基本的観点から、自然生態系の維持発展の方向をたどることは確かであり、今後、一層明確なものとなっていくであろう。

農業教育においても、これらの推移を的確には握し、自信を持って、明日の教育のために努力していく必要があるであろう。

 

工業科

 

実験実習を中核とする工業化学関係学科の学習指導計画と、その指導を効果的にするにはどのようにしたらよいか(県立福島工業高等学校)

 

一、はじめに

 

福島工業高校工業化学科においては「化学工業1)」を理科(化学1))の代替により九単位(一年で六単位、二年で三単位)、「化学工業2)」を三年で三単位、「化学工業3)」を五単位(二年で三単位、三年で二単位)、「化学工場」を三年で五単位実施しており、これらの科目と実習との関連表を作成し、実験実習と各専門科目の関連を重視し、学習効果の向上を図ってきた。なお関連表の一部を示すと、別表のとおりである。

 

二、「化学工業1)」について

 

(一) 実習と「化学工業1)」との関連

一年の実習と「化学工業1)」(実教)との進度を比較すると、特に容量分析の基礎知識となる学習が非常に遅れる。例えば、酸・塩基・塩は秋に酸化還元反応が三学期に履習することになり、基礎学習と実験実習にずれが生じ、学習効果が低下する。

(二) 「化学工業1)」の指導の改善

右の問題を実習を中心として改善するために、「化学工業1)」の指導内容を次のように変更した。

まず一年における六単位を教員ABの二名で担当し、Aは四単位で初めから指導し、Bは二単位で酸・塩基・塩から酸化還元反応まで担当するとともに、一年の実習の容量分析の指導を担当するようにした。

(三) まとめと問題点

一年で直ちに「化学工業1)」の中間から学習させることは容易ではないが、原子量、分子量、化学式、化学反応式の意味などの基礎事項を予備的に学習させて、酸・塩基・塩の学習に入ると、案外容易に生徒は理解していく。この結果、実習内容の

理解が深まり、実験に積極的に取り組み、データの整理もよくなった。またB担当の「化学工業1)」の授業能率も向上し、相乗効果があるようである。

実施期間も短かいので、細かい面での改正は今後も行っていかなければならないが、実習との結びつきは特に重要である。

 

三、「化学工業2)」について

 

(一) 実習と「化学工業2)」との関連科目面では割合に簡単に扱われているが、実習面で内容を十分は握させるようにし、二年の実習で取り上げている部分については、種々のデータなどを示して、三年でまとめるように配慮している。また「化学工業2)」の授業担当者が、実習でも直接指導できる体制が望ましい。

(二) 「化学工業2)」の指導上の留意点

「化学工業1)」の基礎知識を踏まえて、現在の化学工業の姿を認識させ新しい化学工業の進展を図る態度を養いたい。また基礎理論と現実面の

ギャップをいかに克服して工業化されているかという点を、実習で配慮しながら指導していきたい。

(三) まとめと問題点

実験実習と科目の内容をより定着させ、試験研究の方法を、いかに身につけさせるかが問題である。

 

四、「化学工業3)」について

 

(一) 実習と「化学工業3)」の関連

三年の実習の中で“単位操作と工

業計測”という単元で「化学工業3)」の内容を、より多く学習できるように配慮した。また実習を実施するに当たり、前期には、努めて二年で履習している「化学工業3)」の内容に後期には、三年でのそれに合致するよう計画した。

(二) 「化学工業3)」の指導上の留意点

「化学工業3)」の授業担当者が“単位操作と工業計測”実習担当者であることが望ましい。また実験実習により図表作成や実験式作成などにより、データ整理の実質的効果を図り「化学工業3)」の経験的理解を深めさせる必要がある。

(三) まとめと問題点

実習と科目の内容をより密接にし

 

 

 


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