教育福島0005号(1975年(S50)09月)-026page

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などから、クラブ活動の趣旨やねらいが改めて問題として提起されている。また、教師の負担過重等から、単なる「遊び」に終始しがちなクラブ活動に対する反省も現れている。

このために、1)一部の教師だけにクラブ活動の計画や運営を任せるのでなく、校内にクラブ活動を改善するための委員会等を組織して、クラブ活動の趣旨やねらいについても全職員が十分理解を深めるような配慮が大切であろう。2)更に、「遊び」に対する反省と改善が各地区で取り上げられたが、これには、それぞれのクラブ活動の指導目標を生かした、各時間の具体的な「活動の目あて」を設定することが必要であり、それらの「活動」を通して教師と生徒、及び生徒相互の間の人間的接触を基盤として、自主的、協調的な生活態度を養うことが大切である。

(二) 研究講座的なクラブ

全体として見ると、第一希望外に所属する生徒(約二十七パーセント)の調整と意欲の指導も重要な課題である、このため施設や生徒の発達段階から考えて、二、三年生を中心に、超学年編成と教科指導の延長とならないことを前提とした、魅力のある教養ゼミ的なあるいは研究講座的なクラブを設置して、効果をあげている例も見られる。

(三) 雨天時や冬期間の指導

体育系のクラブ活動の中で、特にソフトボール、テニスクラブ等のように雨天時や冬期間の指導が困難なクラブの運営について、更に改善の必要があろう。このためにはア)あらかじめ、雨天時や冬期間の活動場所として特別教室やホール等を設置しておくことはもちろんであるがイ)単なるルール解説にとどまらず、体育に関する主題のフィルムフォーラムの開催ウ)あるいは、他クラブとの交歓会の計画的運営エ)更に雨天時や冬期間における体育系クラブの特別ローテーションシステムによる編成等、様々な工夫が必要であろう。

(四) 評価と反省

クラブ活動に対する個々の生徒の評価については、出席時数を記入している学校が大半を占めているが、一部の学校には、文章記述の評価も見られ、ごく少数ではあるが、三段階の評定を実施している例も見られる。これらに共通しているのは、自己評価を参考にしている点である。

また、それぞれのクラブ活動の評価と反省という観点から、活動全体に対する分析的評価も大切であり、生徒自らが各時間ごとに活動全体を評価している学校も見られる。このためには、生徒と教師がそれぞれの立場から、クラブ活動を反省、改善するための研究委員会等を活用して、組織的に評価と反省を実施することが大切であろう。

更に、各クラブの「活動のめあて」に対する評価と反省のために、学校行事として学期ごとに文化系や生産系クラブの小規模な研究発表の機会を設けクラブ活動の意欲を高め、活発化を図っている学校も見られる。

(五) 部活動との関連

部活動と全く同一のクラブを設置して、部活動のリーダーの指導によってクラブ活動の活発化を図っている学校もあるが、生徒の多様な趣味や関心を生かすために、部活動以外のクラブを設置して、それへの加入を指導している学校が多い。また、一年時に希望したクラブ活動を、原則として三年間継続させている学校も見られる。

 

二、学校行事の精選

 

「学校行事を精選するとともに、それぞれの行事の特質を生かして指導の効果をあげるためには、どのような指導計画を作成し、どのような指導を展開したらよいか」という研究主題について協議された問題点とその改善案をまとめてみよう。

(一) 学校行事の実施時数

学校行事は教育課程全体の調和を考えて、「それぞれの内容の特質に応じて、年間、学期又は月ごとに、適切な時間を当て、その実施の時期、回数、方法などについては、地域や学校の実態に応じて、適切に定めること」になっている。

その際、年間授業時数と学校行事のための時間数の両者を比較検討して、調和を図ることが大切である。年間授業時数を先に定めて、「残り」を学校行事に当てるというのでは、学校行事の教育的意義を十分生かした教育課程を編成することはできないであろう。学校行事の精選ということは、もちろん、実施時数を「減らす」ことではなく、学校行事の六内容の関連について配慮しながら、これらをいかに「充実する」かということであろう。ちなみに、昭和五十年度の調査(全日制七十七校)によれば、学校行事の年間計画時数は平均約七十時間となっている。また、この調査で、学校行事の年間時数が、学校によって二十三時間〜百九十五時間と大きな幅が見られるのは、定期考査を学校行事に含めるなど、各校における学校行事の取り扱いに明確さを欠いているためであろう。

(二) 学校行事の改善

今日の学校行事の底流をなすものは生徒の学校集団への同化作用であり、また、学校集団のモラールの高揚であろう。このためには、教科中心への偏りをなくし、全体として、生徒に欠けている集団意識や勤労意欲を育てるために学校行事の持つ意義は極めて大きいものがある。学校行事が良き校風を育てる、という理由もここにある。

ともすれば、現在低俗と無気力に陥りがちな学校行事を積極的に改善し、生徒一人一人の学校行事への参加意欲を高めるためには、文化祭、修学旅行卒業式、交通安全講話など、個々の行行事内容を生徒の積極的参加という立場から再検討する必要があろう。

 

 

 


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