教育福島0005号(1975年(S50)09月)-039page

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わが町の生がい教育

 

まず婦人教育から

双葉郡富岡町教育委員会

 

本町では、これまで公民館施設が少なく学習の場の必要性が強く望まれていたが、昨年十月「文化センター」の完成を見た。センターは各種研修室、図書室、料理実習室、視聴覚室等のほか宿泊研修のための設備も完備している。開館以来しだいに施設設備の利用が増えていることは、学習の必要性が認識され、意欲が高まってきていることを、物語っている。特に本年度実施した一泊二日の町内小学校・中学校リーダー研修会は、ひじょうに好評を博し、これからの宿泊研修に一つの示唆を与えてくれた点で効果があった。

社会教育のねらいを「知性豊かな人間づくり」に置き、「子供に心身の健康を、青年に思索と希望を、家庭に自信とやすらぎを、町にモラルと協力を」を目標としている。センターを、自己研修と相互学習を行う生がい教育の場とするとともに、町民のやすらぎと交流の場にしたい。

次に婦人教育について触れてみたい。婦人の生活時間・学習意欲等について調査した結果、次のようなことが言える。

家庭構成人員は四人家族の傾向があり、約四十パーセント近い主婦は、年間を通じて勤めに出ている。自由時間は主にテレビ視聴、子供といっしょに過ごすことが多いようであるが、これからは個人の趣味を生かすようにしたいという余暇活用への意欲も見られる。学習希望内容は、料理・栄養・調理、健康管理、編物・手芸を多くあげている。しかし、昼の時間に余裕がないことと、交通の不便さの訴えも見られる。

これらの実態を踏まえて、主婦の家庭で果たす役割の重要さと学習意欲を満たすために、その機会を提供しなければならない。そのため、次のような学級・講座を開設している。

一、婦人学級

中央学級として一学級、婦人の身近かな問題を中心にテーマを取り上げ、家庭の主婦の立場を理解し向上するよう努めるとともに、婦人のリーダー養成も合せて進める。

二、部落婦人学級

部落単位の婦人を対象として、地域の人々の連帯を図り、多くの人に学習の機会を提供するために集会所等を利用している。

三、幼児家庭教育学級

家庭での教育は、成長期の子供にとってその生がいを決めるたいせつな役割を果たすと言われる。就学前の四・五歳児を持つ両親を対象とし、教育の担い手である家庭の主婦にその設計と手がかりをつかんでもらうため、中央学級として一学級。

四、集中講座

婦人の学習要求に基づき、個人の趣味を伸ばすとともに、生活に役だつ問題を取り上げ、それぞれ短期間に十回で終了する。料理教室、手芸教室、生花教室、茶道教室等。

五、婦人体操クラブ

家庭の主婦はとかくスポーツに縁遠く、これまでは家庭バレーボールで楽しむのが最も多かったようだが、健康は与えられるものではなく、自分で作り出すものであることから、美容をかねて体力づくりに励んでいる。スポーツウーマンの養成ではなく、スポーツに親しんでもらうのがねらいで、徒手体操や筋肉ほぐしなど軽いスポーツに重点を置いている。

今後の婦人教育には、若妻教室、部落学級、ボランティアグループの育成各種婦人団体の育成と連合体の結成などに力を入れていきたい。

文化センターの完成で、社会教育活動が新しい形で再びスタートしたので町民の実態、欲求を考慮し、あせることなく、じっくりと取り組んでいきたい。

 

成人学級授業風景

成人学級授業風景

 

 

 


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