教育福島0005号(1975年(S50)09月)-040page

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福島県教育センターから

 

小・中学校理科講座における野外研修について

 

中学校理科講座野外研修風景

中学校理科講座野外研修風景

 

一、はじめに

 

教育センターでは、前号(四、五月号)に掲載したように、各種の講座が開かれている。その中で、今回は理科講座で実施されている地学分野の野外研修について、その実施の状況を紹介しようと思う。

いうまでもなく、理科の領域は、中学校においては第一分野、第二分野、小学校ではAB、Cの各領域に分かれている。そして、それぞれには特有の指導のねらいがあるわけでセンターでも、その全域にわたって、新教材の実験法、探究の過程を踏まえた理科指導、及びその問題点などを中心に研修を進めている。

理科の学習は、ある一つの事象の相互関係をは握し、因果関係を学習するものであることから考えて、データを収集するという過程が必要であることは当然のことである。

そのために地学領域や、生物領域では、野外での研修が要求されるようになり、当センターでも、昨年度から実施されるようになったわけである。

生物では、特に植物の生態系の量的な変化を中心にセンター周辺地域(瀬上一帯)で観察を行っている。

地学では、地層の成り立ち、各種岩石の観察の観点、地質の構造の相互関係などの調べ方を中心に、各人が、それぞれの目的に添ったデータを集め、モデルを組み立て、地学現象における歴史性をは握する方法を知るための実習を行っている。

 

二、実施の状況について

 

教育センターで行っている理科の講座の期間は、前期、後期合せて十日間であるが、このうち地学の野外研修は一日で、研修地は、図に示したようなコースとなっている。

研修のねらいは、前述したように、探究の方法(手法も含めて)を教師自身が経験することによって体得していこうということにある。

次に、具体的な研修内容について触れると、中学校では、図中の○印の番号を付した地域で、時間をかけ、実習を行っている。

すなわち、1)では荒川の扇状地の地形の観察をする目的で、土地のこう配たい積物の粒形の変化、河川の流路変化などを関係づけてとらえること。2)では、土湯温泉付近で「地層の成り立ちと相互関係」をとらえる目的で、岩石の調べ方の基本的事項の学習、ルートマップの作成や、地質図の作成の手順、そして地質図の見方などの基礎的研修をしている。3)では温泉噴出物(ちんでん物、ガスその他)の観察を通じて、火山活動の末期現象としての温泉についての知識を深める。4)では、吾妻、安達太良、磐梯の各火山の地形の特徴を見て、構成岩種などとの関連において、火山の噴出機構を推論すること。5)7)では、それぞれ桶沼の火口湖(火山砕せつ丘)、吾妻小富士(火口と成層火山)の観察や、水質の問題及びこの中央火口丘を囲む周囲の東吾妻火山群との噴出機構や時代的な関係を、既有のデータなども加え検討する。

また8)では、流水の働きと関連して不動沢のV字形の谷、そして福島盆地に流れ注ぐ河川の流路の変化や、地形の関係を検討し合う。一方、福島盆地周辺の山地の地形を見て、地質との関連において、種々の問題点を解明していく。9)では、温泉ちんでん物、及びその噴出物による岩石の変質の状態、10)では扇状地の地形と地下水、構成岩石の粒形変化などを中心に、できるだけ系統的に解明しようとして実習を深

 

 

 


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