教育福島0008号(1976年(S51)01月)-006page

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を、多くの研究物の中から感じとることができて、とてもうれしく思いました。

 

新しい年を迎え、今年もまた、先生がたのすばらしい研究の成果を発表することになりました。常に細かな配慮の下に日々の教育実践を続けておられる先生がたの様子を、多くの研究物の中から感じとることができて、とてもうれしく思いました。

今年度の応募総数は五十七編で、総数からだけ見ますと、昨年度より少なくなっていますが、広く県内各地区からの応募がありました。また、研究の対象とされた分野も、全教科・領域、それに学校経営全般から特殊教育・へき地教育・視聴覚教育等と広範囲にわたっております。これは、この企画の趣旨が多くの先生がたに御了解いただけた結果であると考えております。

今回は、特選のほか入選の研究物についての紹介も掲載しました。今後の教育活動の参考にして欲しいと思います。

教育という仕事には際限がなく、日々の実践には多くの問題があります。私たちは、児童生徒の一人一人に学習が成立し、めいめいが充実感を持って学校生活を過ごし、より高い目標に向かって意欲的に取り組むような姿を願いながら、日々の指導を続けたいものです。ところが、児童生徒の学習の成立にはさまざまな型があって、ある一つの方法がすべての子供に有効であるとは限りません。ですから、例えば、自分の得意とする特定の方法だけで授業を進めていますと、ある子にとっては最適なものでも、他の子にとっては理解ができず、学習意欲を失い、ついには自信喪失という結果になることもあるのです。ところが、日常のこのような問題は、ややもすると、気がっかなかったり、見逃したりしがちです。常に気をつけていれば、問題行動の兆候や端緒をとらえて、これを追求することによって、問題の本質を明らかにすることのできるものもあります。そこで、常に現状に対する問題意識と、するどい観察眼が必要となります。

そこで、研究主題の設定に当たっては、児童生徒の現実の姿から出発し、その結果が一人一人の発達にはね返るものであり、実践を通して究明されるものとなるような配慮が重要となります。また、その研究は、各学校の教育目標に基づき、それを具現化するという立場に立った究明でありたいと考えております。

教育研究は自己の実践を冷静に批判するものです。私たちは、日々の実践におぼれることなく、さまざまな教育理論を踏まえながら、教育研究との相互補完によって、教育活動を更に深化発展させていくことが望まれます。

教育に対する批判は厳しく、教師に対する要請や期待もまた大きい昨今です。私たちは、児童生徒のよりよい変容を望みながら、流行を追ったり、奇をてらうことなく、着実な努力を続けていきたいものと思います。

 

 

 


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