教育福島0008号(1976年(S51)01月)-008page
三、審査
(一) 審査基準
審査は、次の観点に基づいて行った。
○ 研究対象の適切性
○ 研究計画、内容の適切性
○ 資料収集、解釈の適切性
○ 研究成果の有効性
○ 論旨の一貫性
(二) 予備審査
各教育事務所において審査した論文を、更に義務教育課の指導主事が総合的に審査した。
(三) 本審査
次の学識経験者に依頼し、十月十七日大仏荘において本審査を行った。
○ 審査委員長
東北福祉大学教授
安田 初雄殿
○ 審査委員
郡山女子大学短期大学教授
長谷川寿郎殿
学法福島工業高等学校長
栗原 喜蔵殿
福島大学教育学部教授
蜂谷 剛殿
四、講評
本審査をしていただいた先生がたから、本年度応募論文の特色及び問題点、今後改善努力すべき点などについて、総合的な講評を頂いた。その要点は、次のとおりである。
(一) 研究主題の設定について
(1) 研究主題の取り上げ方が大きすぎ
る。もっと問題を限定して研究を進めること
(2) 研究は、主題を絞ることがかぎなので、範囲を決め、具体的問題を取り上げていくこと
(3) 研究主題を自分のものにしていくための掘り下げを図ること
(二) 論述のしかたについて
(1) 研究論文というよりも、実践記録的な内容のものが多い。多くの実践の中から問題となるものを抽出して研究を深めていくこと
(2) 主題と密着した資料を収集し、論証に必要なものに限定した資料の再構成を図っていくこと
(3) 実態調査の段階で終わっている論文が見受けられた。調査結果から
「何がわかったかを」を突きつめ、発展性のある内容としていくこと
(4) 参考書に書いてある内容をただ写すのでなく、その活用面を明確にすること
(5) アンケートは、既成のものをまねるのではなく、自校の実態にあったもの、研究内容にふさわしいものを工夫して作成し、実施すること
(6) 自己の感情をまじえて論述していくことは避けること
(7) 難解な用語が多く使われている。できるだけ平易な言葉とわかりやすい文章で論の展開を図ること
(三) 論文のまとめ方について
(1) 絶えず仮説と照応させ、客観的・
実証的な立場に立ってまとめていくこと
(2) 主観的な意見だけでまとめていくことは好ましくない。資料に裏づけられた説得力のあるまとめ方を工夫していくこと
(3) 研究結果の変容を明確にし、できるだけ具体的に述べるようにすること
(4) 単なる実践記録の集積でなく、仮説−検証の過程を踏んだ、筋道の通つたものにしていくこと
(四) 表現の工夫について
(1) 用語の持つ意味を十分研究し、理
解した上で使用すること
(2) えんぴつ書きの論文が見受けられた。ペン書きを原則としていくこと
(3) 文献を引用したときは、その出典を明記すること
(五) 今後の努力したい点
(1) 教育実践と研究との結びつきをどう関連、調和させていくかが課題である。毎日実践している中から問題を拾い上げ、教育研究の手法に従って解決していくよう努力を続けていって欲しい
(2) これまでの他の研究をまねることなく独創的発想による研究を期待したい
五、表彰
特選者の表彰式は、十一月十七日、県庁内教育委員会、教育長室で行われ賞状並びに記念品が授与された。佳作者には、各教育事務所長を通じて賞状並びに記念品が授与された。
表彰記念