教育福島0008号(1976年(S51)01月)-023page

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それに、解決の見通しを立てる場合、一人一人の生徒の持つイメージは、予想もつかないほど多様である。それを、典型的な手法で指導に当たつたのでは、数学的な考え方は伸びない。数学的なきまりにかなった柔軟性のある考え方をさせたいものである。

 

八、参考文献

 

教育研究法序説

福島県教育研究所

中学校指導要領の指導事例、数学科

明治図書

数学教育指導の現代化

近代新書

 

授業風景

授業風景

 

◆講評◆

 

(一) 自校の数学教育について、単に生徒の問題としてのみとらえるのでなく、教師自身の問題として取り組んだ研究成果は、数学科学習指導のあり方に多くの示唆を与えるものとして価値がある。

(二) 三か年の長期にわたる継続研究で問題は握の段階、実践の段階、資料収集と計画的に進められている。

(三) 研究の仮説検証の授業案や調査資料にとどまらず、一年から三年までの研究に関連した数学科指導内容のミニマム、日案、調査資料とその膨大なる実践記録の集積には目を見張るものがある。

(四) 研究テーマは、あまりにも大きすぎはしなかっただろうか。「数学的な考え方」というと数学教育全体の問題を指しているとも考えられる。研究範囲の限定とともに、研究の焦点化がなされる必要があったように思われる。

(五) 全体として論文の体裁が整っているが、結論や、研究の反省と今後の課題で、この仮説によって「数学的な見方・考え方の育成」を図ることができたのか、どうか。また、それが十分でなかったのなら、仮説をどう修正して今後研究に取り組むのがよいか、その点も論じて欲しかった。

 

入選作品紹介

佳作の部

 

◇ 椚山小学校長 宗形 虎男

 

「小規模校の経営・やる気と自信をめざして」

 

小規模学校の児童は、ともすると学習や生活が消極的になりがちである。そうした中で、この研究は、徹底した児童理解の下に、温かい人間関係を基盤に置きながら、具体的な実践の場を与え、それを乗り越える中でやる気と自信を高めようと試みられた実践である。

特に指導の過程において、意図的に競争心を高め、価値あるものへの真剣な努力を要求し、その結果については自己評価をさせ、教師の適切な承認により自信を深め、積極的な態度へと高めようとしている。

また、習慣や態度形成に当たっての形を大切にした指導は特徴的である。

指導の結果、児童の変容等が更に具体的に提示されれば、説得力もより高まることと思う。

 

◇ 白河第二小学校教諭 佐藤 博治

 

「教科の本質に基づき児童の主体的学習態度を育成するためには、授業をどう改善したらよいか」

社会科の指導において、学習課題の設定をどのように進めればよいかについて、実践をまとめた記録である。

平安時代、江戸時代の教材内容を構造的にとらえて基本事項を明確にし、児童の問題意識を大切にしながら、課題の系列化を図る努力がなされている。このことは問題意識の強弱が授業の生命である社会科にとっては、大切な着眼点である。

検証授業の記録もたんねんに取られているが、結果の分析が概括的である。研究計画の理論構成をち密にし、主題解決に迫るための視点、方法等についての再検討がされれば、すばらしい論文になるであろう。

 

◇ 原町第一小学校教諭 太田 勝弘

「一人一人の児童に探究する力を育てるには、授業をどう改善したらよいか」

 

 

 


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