教育福島0046号(1979年(S54)11月)-033page

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二、家庭教育学級の開設について

 

矢吹町に中央公民館が新設された翌年の昭和四十九年に、はじめてこの施設を利用しての家庭教育学級が開設された。それ以前は、中畑、三神、矢吹の各小学校を会場に、PTA活動の中で家庭教育学級が運営されていた。

四十九年の学級運営は、中央公民館の担当職員一名の他に、専任講師をおき、出席できない人のために通信講座が設けられた。対象となったのは、小学一年生を持つ保護者であったが、組織づくりやカリキュラムづくりに問題があったためか、開設当時四十名を数えた学級生が閉講式には五名ほどになってしまったという苦い経験がある。

五十年から、幼児教育の重要性に着眼し、子供の健康を土台に、創造性と協調性を育てることを柱に、園生活と家庭生活の結びつきを深めるため、幼稚園を会場に実施している。

 

1 目標と対象

(1) 幼児の生活環境をもう一度みつめなおし、家庭と幼稚園の結びつきの中で、幼児の人間性の発見につながる学習を行っていく。

(2) 対象は幼稚園児をもつ保護者と幼稚園教諭

 

2 実施期間と開設場所

(1) 昭和五十年四月〜五十一年三月まで町立中畑幼稚園

(2) 昭和五十一年四月〜五十三年三月まで 町立中央幼稚園

(3) 昭和五十三年四月〜五十五年三月まで 町立矢吹幼稚園

(4) 昭和五十五年四月〜五十七年三月まで 町立中畑幼稚園(予定)

 

3 評価

(1) 学習内容は学級生の要望や意見をじょうぶん考慮して立案した結果、遊びの実践や、手づくりの絵本作成、写生会など、行動や実技の伴うものがあがってきた。

(2) 親と子と教師がともに学び、考え、作り出していくという作業の中で、子供の不断の生活への理解が深まるものと思われる。

(3) 学級生の中から、おやつづくりや、リフォームによる子供の身のまわり品の作成など、得意とする分野でお互いに講師になって教授することにより、積極的に学習が展開されることが期待される。

(4) しつけに関しては、学者の一般論を聞くよりも、学級生同志の会話や、自分の子供の担任の先生との対話を多く持って、ケースに応じられるようになりたいという声が大半であった。

(5) 婦人学級(若妻学級)との交歓会を持ち、嫁と姑の問題がからんだ中での子育てについて、心開いた発言がかわされ、子供のしつけには家族全員の理解と協力が必要であることが強く感じられた。

 

4 問題点と今後の課題

 

(1) 子供の感受性・想像力・探究心を培い、より豊かな心をはぐくむためにと行った一昭和五十二年度・中央幼稚園での家庭教育学級一親子読書に関する内容が、手づくりの絵本を生み、さらにその時の学級生が現在もサークル活動の中に学習で得たものを生かしている事実を捉えると、学習内容は一貫性のあるものが良い。

しかし、長期にわたる学級では、よほどの意欲興味がなければ、次々に自分の生活の中に入ってくるスケジュールが優先してしまい、限られた人だけの学級になってしまう。

(2) 学級生の大半は即座に役立つものを期待するが講義形式の教育論に頼らなければならない場合、講師の選択が問題となってくる。

(3) 学級生の一人一人が受身でなくなんらかのかたちで自己を発揮できるようにするために、役割を分担して運営委員会を構成する必要を感じる。

(4) 対象が子供を持ち、多忙な家庭の主婦であり、就労婦人であることを考えると、学級は短期間に一つのテーマを集中的に行うか、あるいはテーマごとの学級をいくつかもてればよいのではないかと思う。(表2参照)

 

表2 昭和54年年間学習計画

表2 昭和54年年間学習計画

 

 

 


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