教育福島0053号(1980年(S55)08月)-010page
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単なる図式でなく、運営しやすく柔軟性に富むとともに、機能的であることが大切である。
(四) 学校経営と人間関係
経営組織体としての学校の維持と発展を図り、学校教育本来の目的を効果的に達成させるためには、教育諸条件の整備を図らなければならない。
とりわけ、教育活動の主体者である教師相互または、校長と教師等の精神的結合、職員の意欲の問題は、その目的の効果的達成に大きな影響を与えるものである。
1 人間関係の意義
従来、人間関係については、いろいろな理解のしかたがなされてきたようであるが、新しい人間関係は次のように定義づけられている。
組織ないし集団の成員である個人の行動を、その欲求、動機、態度というような人間心理の深層にまで立ち入って理解し、それによって、個人対個人、個人対集団、個人ないし集団組織といったさまざまな社会関係を合理的に調整すること。
人間関係の意義については、以上のように定義づけたが、日本的・家族主義的な発想をもってこれを受けとめようとすると、その正しい理解がゆがめられるので、社会学的立場からこれをとらえる必要がある。
2 学校での人間関係研究の課題
学校における人間関係の重要さは、学校が人間の教育をその主な仕事にしているところだけに、そこには、人間相互の深い理解と愛情に結ばれた人間関係が、教師相互の間に、教師と児童生徒の間に、児童生徒相互の間に、更に、教師と保護者との間に成立していなければ、到底成果を期待することは困難である。
こうした意味から、学校経営における人間関係のあり方について、少なくとも近代化を志向した学校経営を進めようとするとき、人間関係のあるべき姿の究明こそは、組織の構成員であるすべての教師に課せられた命題といえよう。
三 学級経営
(一) 学級目標と学級経営
学級は、学校という経営体の一単位であり、学級経営は、学校教育の目標を実現する重要な役割を持つとともに学校、学年における直接的な機能を果たす領域として、最も重要な位置を占めるものである。
また、学級経営は、その学級だけが孤立して経営されるものではなく、学年や他学級と密接な連携を図り、経営されなければならない。
そのためには、学校の教育目標や学年目標をよく分析し、児童生徒の心身の発達段階と、その学級の児童生徒の実態を的確にとらえ、具体的な学級目標を設定し、その達成のための方法を講じなければならない。
学級担任が、自分の受け持った児童生徒に、学級の目標を達成させるためには、まず、学級経営の方針を明確にすることである。すなわち、どのような方針で、この一年間受け持った児童生徒を学級の目標に到達させるかを明らかにし、一貫した学級経営に当たるかである。次に大切なことは、経営のあり方である。
その経営にあたっては、次のことを常に念頭におくことが大切である。
1 人的管理
児童生徒のあらゆる教育活動を観察し、そのうえに立った適切な指導がなされること。
2 物的管理
環境の整備に関することである。
教室内の設備等の物的条件の整備。特に、各教科、道徳、特別活動における学習の動機づけや、学習意欲の喚起のための物的条件の整備に対する創意工夫が望まれる。
3 運営管理
学級の組織が、計画に従って円滑に運営されているかを観察し、常に適切な指導がなされること。
学習担任は以上のことについて留意し、児童生徒一人一人に学級目標を達成させることが大切である。
このためには、日常の教育実践を通して、経営能力をみがくとともに、人的な面、物的な面、そして運営面の調和のとれた指導や管理にあたる能力態度を養うことこそ肝要である。
(二) 学校経営における組織と機能
学級が一つの共同体として、学級の目標を目指して、生活させるためには、組織をつくり、役割の分担を明確にする必要がある。そして、学級内の連絡調整、協力により一人一人の児童生徒の全人格の形成(学級目標の達成)を図る指導、援助が大切である。
1 学級組織
学級の組織としては、児童会、生徒会の組織との関連を図った役割分担であり、また、学級集団や生活集団などを中心とした組織等が考えられる。その中で各係活動は一人一人の個性伸長という観点から、また学級経営を効果的に進めるうえで大切な部面を占めるものである。また、係活動が仲間意識を育て、互いに協力し合う望ましい学級作りの土台とも考えられる。
2 組織作りの視点
1) みんなのための組織という集団意識に支えられたものであること。
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