教育福島0053号(1980年(S55)08月)-023page

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に、個人差を配慮した指導や個別指導を大切にしなければならない。

 

(三) 個人的適応指導

 

生徒指導において、問題の中心が特に児童生徒の個人的な適応の面にある場合を個人的適応指導とよんでいる。

個人的適応指導の最も直接的なねらいは、生活適応そのものであり、児童生徒の精神的健康の増進を目指した計画と実践が必要である。

1) 学校・学級生活への適応に関する指導では、入学・進級時の指導、学級編成替え、転出入児童生徒の指導や委員会やクラブ活動への加入とその後の適応指導、小集団への所属に関する指導等発達段階や学級の特質に応じて指導する配慮が大切である。

2) 個人的な悩みや不安の解消に関する指導では、児童生徒の精神上、身体上の悩み、性的な発達に伴う悩み、対人関係の悩み等が考えられる。

指導に当たっては、平素から児童生徒との人間的な触れ合いを深めることによって、これらの悩みや不安を敏感に感じとり、適切に取り上げて指導することが大切である。

3) 望ましい人間関係の確立に関する指導においては、平素から学校内の人間関係の調整に絶えず配慮し、児童生徒が学級その他の集団に円滑に溶け込み、生き生きと活動できるよう援助することが大切である。

4) 指導に当たっては、特に個人差に応じた指導が必要である。一人一人の児童生徒をよく理解し、その実態や発達段階に即して適切な指導を行うとともに、教師と児童生徒、児童生徒相互の間に親愛の情や信頼感、協力の精神等を育てることに特に留意することが必要である。

 

(四) 社会性・道徳性指導

 

生徒指導でねらう社会性・適応性の指導は、民主的な社会生活のための基礎となる社会的資質や態度・能力を身につけさせることである。具体的には児童生徒の所属する地域や家庭や学校学級等のよき成員として、その集団生活や社会生活を円滑に進めていけるような資質や態度・能力を育てることである。指導内容は「社会人形成」の面から望ましい人間関係の育成、公民性の育成、「個人形成」の面から、人生観、世界観の確立、望ましい習慣の形成があげられる。

また、教育課程審議会の答申に「社会連帯意識や奉仕の精神に基づく実践的社会性を養うこと」とあり、そのためには、一つの目的に向かって仕事を分担し合う、目標達成のために、各人の能力やパートに応じて全体のために自分のもっている力を出しつくす等、社会的連帯の基本になるものに目をむけた指導を重視する必要がある。

 

(五) 進路指導

 

進路指導は「生徒の個人資料、進路情報、啓発的経験及び相談を通じて、生徒が自ら、将来の進路の選択や計画をし、更によりよく適応し、進歩する能力を伸長するように、教師が組織的継続的に指導・援助する過程」と定義づけられる。(中学校進路指導の手引き)

換言すれば、進路指導とは、単に就職、進学の指導だけでなく、生徒が将来進むべき人生の方向を設計し、吟味し、その実現を援助する指導活動である。指導に当たっては次の点に配慮することが大切である。

1) 児童生徒自らの生き方についての指導援助であることに留意する。

2) 個々の生徒の職業的発達を促進するよう配慮する。

3) 一人一人をよりよく理解し、その可能性の伸長を図れるようにする。

4) 入学当初から組織的・計画的・系統的に行うよう計画し実施する。

5) 家族の理解と協力、関係機関との連携に努める。

 

(六) 保健指導

 

(六) 保健指導

 

保健指導においては、「健康な生活を営むのに必要なことがらを体得させ積極的に健康増進できる態度や習慣を養う」ことをねらいとしている。したがって、指導に当たっては健康で安全な生活を営むために必要な事項を理解体得させ、行動できる実践力・態度の育成に重点をおいて指導する必要がある。

1) 健康な生活設計の指導においては調和のとれた生活をおくることの理解と、自分の生活目標や生活内容に適した健康な生活設計ができるようにする。

2) 事故から身を守る指導に当たっては身近な生活の中で多く見られる事故災害、交通事故の現状や原因などを理解させ、事故防止に努める心構えと実践的態度の育成に努める。

3) 清潔保持の習慣の育成に当たっては、家庭との協力を得ながら、繰り返しの指導を通して習慣化するよう

 

 

 


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