教育福島0053号(1980年(S55)08月)-024page

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指導する必要がある。

4) 性に対する指導は、学校教育における位置づけを明確にするとともに人間形成を目指した指導の一貫として進めることが大切である。

 

十 研修

 

(一) 研修の意義と必要性

 

研修という言葉は、教育公務員特例法第十九条第一項の規定から推察されるところでは、研究と修養とを結びつけ、かつ省略した言葉といえる。

「研究」とは、教育実践の場の諸問題について、今までの研究成果に学びながら、自他の教育実践を対象とする科学的な研究操作を通して一定の結論を求め、教育実践の決定に新たな提言を行おうとするものである。「修養」とは、教師が自己の教育経験から学びとるとともに、他者の経験・知識や各種の情報から学びとって、専門職としてふさわしい能力の伸長に努めたり、広く豊かな教養を身につけて全人格的な高まりを目指すものである。

与えられるものであれ、自発的なものであれ、研究と修養とは相互補完的に関連し合いながら教師の資質を高めていく関係にある。それらをまとめて研修とは「職務に必要な知識・技能・教養等を修得し、その資質の向上を図るための教育訓練」と定義するのが一般的である。

いうまでもなく教育活動は、社会の形成者として、創造的で豊かな人間性をそなえた心身ともに健康な児童、生徒を育成するための目的活動である。その目的を実現し、教育の効果をあげ効率を高めるためには、教師は絶えず進展する文化や科学に対応する専門的な資質を高めるばかりでなく、現代社会の要請を理解し、将来を見通した教育理念の確立を図る必要がある。更にまた、かけがいのない児童生徒を生かし育てる教育活動の実践にかかわって、教師が身につけなければならない教育技術や理論は専門職としての必須要件である。

親の信託にこたえ、また、真の教師としての人格の完成を目指すうえで、豊かな教養を身につけたり、教職者としての倫理感を高めることも教職にある者の責任と思う。現代は「教育の時代」といわれているが、教師の研修に深くかかわる点で「教師の時代」と換言できそうである。専門職としての職務遂行能力と人格を高めるうえで、あらゆる機会と場を有効に生かし、研修に努めなければならない。

 

(二) 研修の内容と方法

 

研修の内容は、研修の主体や形態等によりいろいろな類型が考えられる。

A 1)教職教養としての研修

2)一般教養としての研修

B 1)教育目的や内容に関する研修

2)教育方法に関する研修

C 1)教育方法に関する研修

2)教職についてからの研修

研修の内容を重層的、構造的にとらえれば、これらを貫いて統一する原理は、豊かな人間形成をめざす教育実現のための研修にあるといえよう。

研修の方法上の分類のし方にもいろいろな立場があり、多様な種類があげられる。

A 1)全員研修、学年別研修

2)領域、教科別研修

B 1)長期研修

2)継続研修

C 1)校内研修

2)校外研修

D 1)共同研修

2)個人研修

E 1)職務としての研修

2)自己研修

など、立場や観点をかえることによっていろいろ種類がでてくるのであるから、この中の研修となんらかの形でかかわりをもっている。

ここでは、今後の教育活動に特に重要であり、一層の充実を必要とする個人研修、校内研修、授業研究について実施上、留意すべき点を中心に述べる。

 

(三) 個人研修

 

1) 個人研修のねらい

「良く学ぶ者のみが、良く教えることができる」と古来からいわれているように、自己形成に努めている教師の姿は児童生徒への無言の教育となる。いわば、主体的な研修は、教師の生命である。

主体的な研修とは、研修者が、研修の意味を自覚し、研修の目的ど成就すべく能動的に研修を選択し、自己を洗練していく実践であり、研修者自身が人間として高まるものでなければならない。

このように個人研修は、教職における研修の基盤であり、換言すれば出発点や帰着点でもある。

2) 個人研修の内容

ここでは、教育活動は直接必要な能力に限定してあげる。

ア 児童生徒一人一人の可能性を推測する能力

イ 教育課程を編成し、実践する能力

 

 

 

 

 

 


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