教育福島0053号(1980年(S55)08月)-027page

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心温まる交流

パブロ夫妻の相馬養護学校訪問

−相双教育事務所−

 

パブロ夫妻に折り鶴を

パブロ夫妻に折り鶴を

 

「(前略)…折り鶴は、私たちの船室とブリッジに下げてあります。花はまだ生きています。といいますのは、それらは冷蔵室にしまい、二本ずつ取り出して花瓶に飾っているからです。この花はいつもあなたがたとのことを思い出させ、私たちを楽しい世界にもどしてくれます。フォークダンスに参加させていただいたことをうれしく思います。名残り惜しかった養護学校での思い出を娘たちに話すために、早くオレゴンの家へ帰れることを願っています。…(後略)」

これは、アメリカの貨物船「スプルース号」の船長パブロ夫妻より相馬養護学校に届いた手紙の一部分である。

交歓のきっかけは、五月三十日、相馬養護学校小学部の児童が合宿訓練中相馬港二号埠頭の完成により入港第一船となったスプルース号(一万八千トン、乗組員二十九名)の巨体に子供たちの目が奪われたことに始まる。先生がたはなんとか願いを叶えてやりたいと片言の英語で見学を申し出たところ、船長は快く承諾、小学部の二十八人が心をおどらせ船内を見て回った。タラップの上降に手をかしてくれたり、だっこや頬ずりをしてくれたりごく自然に迎えてくれた。また、帰りに船長夫人は、子供たちの姿が見えなくなるまで手を振ってくれていた。

翌日、今度はパブロ夫妻から養護学校を訪問したい旨電話があり、学校では、船の絵や折り鶴、焼きものの「馬っ子」などをプレゼントしたり、庭で一緒に相馬盆踊りを踊ったりして歓迎した。最後には花束を贈ったが、その花が手紙の中に出てくる花である。

ことばが通じなくても心情があふれ、ごく自然にわき出た表現がたがいを結びつけてのほんものの交流の一こまではあった。

 

 

 


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