教育福島0053号(1980年(S55)08月)-034page
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わたしの研究実践
指導の個別化
檜枝岐村立檜枝岐中学校教頭
堀金保男
一 はじめに
第一、二学年の社会科の県標準学力検査の結果によると、本校生の場合、
1)地理と歴史に学力の差は認められないが、地理の知識理解及び歴史の資料活用力が劣っている。
2)地理の思考判断が劣っている。
3)歴史の資料活用力が劣っている。
などの面が発見された。
このことから地理は良いが歴史は悪いとか、地理のある能力に欠けるために学習成績が向上しないという問題があることに気づきこれを修正、補強する必要を感じた。
二 実践の内容
(一)個人ごとの学力診断
個人ごとの学力診断
ある中学生一人の個性や能力を診断するためには、地域や家庭などの環境及び本人の身体状況や性格及び知能などについて理解する必要があるが、ここでは中学校二年生の社会科の場合に限定し、知能テストと学カテストだけから診断してみた。
(A、B、C三人の生徒を例にとってみる。)
Aの場合
知能偏差値56 学力偏差値62
(観点別)標準学力検査の結果
分野
観点知識・理解 資料活用の能力 社会的思考判断 学力偏差値 平均 地理 69 55 52 52 62 歴史 69 69 71 72
(1) 知能偏差値に比し、学力偏差値が高くかなり努力していることがわかる。
(2) 歴史は好きであるが、地理はあまり好きでないタイプである。
(3) 社会科の学習態度は、宿題の提出が遅れたりすることがあるが、反面好きなことは熱心に興味を持って学習し「社会科は好きだ」と答えている。
※この生徒の場合には、特に地理の知識理解面の学習指導が求められる。
Bの場合
知能偏差値37 学力偏差値52
(観点別)標準学力検査の結果
分野
観点知識・理解 資料活用の能力 社会的思考判断 学力偏差値 平均 地理 39 55 45 45 52 歴史 57 51 62 58
(1) 学習意欲が盛んで物事の理解は早いが、やや先ばしって判断を誤る傾向がみられることがある。
(2) 地歴併行学習が行われているが、歴史の時間は活発である反面、地理の時間には「地理かあー」と言ってやる気をなくしてしまう。
※原因はどこにあるのか追求して歴史の学習に示す興味、関心と自信を地理の学習にも及ぼすような指導を心がけ地理嫌いを治療することが社会科の成績向上のために必要であると思われる。
Cの場合
知能偏差値59 学力偏差値68
(観点別)標準学力検査の結果
分野
観点知識・理解 資料活用の能力 社会的思考判断 学力偏差値 平均 地理 62 74 50 59 68 歴史 74 74 74 76
(1) この生徒は「体育はおもしろいけれど走れないから困る。歴史は昔のようすがよくわかり人生の役にたち興味ぶかい。」と言って教科の偏りがある。
(2) このクラスは全般的に、地理よりも歴史の学習が好きで、興味を持って学習している、この生徒の場合もその傾向が強い。
※地理の社会的思考判断力の養成がこの生徒には求められている。新聞やテレビのニュースにでてくる地名を地図帳からさがさせ、できごとの背景を考えさせることなどをさせたい。
(二)カードを使用した治療の記録
先にも述べたように、生徒も教師も
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