教育福島0053号(1980年(S55)08月)-037page

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そこで昭和五十四年四月当初、本児の行動の高次化を図るため、次の三つの段階を踏んで見通しをたてた。

1) 不安や緊張状態を少しでもやわらげる対応として、本児の行動に対して拒否的な態度をとらないようにする。比較的歪んだ行動の発現しにくい戸外体育館での活動を多く取り入れる。

2) ボデイ、イメージの形成を促進させ粗大運動の発達を促す。また、固定遊具などにも興味を持たせながら、一人でも遊べるようにさせる。

3) 外界に対する適応行動がとれるようになるには種々の雑然とした事象を整理してやり、それが行動調整の力になっていくのではないかと考え、種々の弁別学習を取り入れながら、平行して手指の訓練も続けていく。

 

(四) かかわりの経過(表2)

 

本児とのかかわりに当たっては、個別にかかわる時間を見つけ、情緒の安定した状態をねらって実施した。また施設とも連絡を密にし、一日の生活の状況がいつも把握できるようにした。

 

・教具の工夫とその活用ができることであろう。

事例では情緒的な問題が取り組みのきっかけとなり、その問題と直面したところからかかわりの見通しができたわけである。しかし、まだまだ、本児に残された問題は多く、自分で行動調整ができる段階までは達していない。だが、本児への指導の糸口の一端はどうにか見つけ出すことができたように思う。

 

四 おわりに

 

今後、重度・重複児といわれる子供たちとかかわる中で、指導計画はもちろん大切であるが、一人一人のニードを見きわめ、いま与えなければならない手だてを考え、実践することが大切であろう。そして行動観察への目を養い、特に、常同行動やその他の問題行動といわれるような行動の影にひそんでいる精神活動の芽といえる行動に目を向けていきたいものである。

 

表2 取り組みの経過

 

表2 取り組みの経過

表2 取り組みの経過

 

 

 


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