教育福島0053号(1980年(S55)08月)-038page

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まちからむらからこんにちは

 

当市における青少年地域活動

 

いわき市教育委員会

 

驚くほどの広域性と旧五市を含む多核性をもつ当市の総人口三十四万六十二人の中で、青少年層の占める人口は九万六千六十三人であるが、子ども会等の少年団体結成数は五百四十九、青年会サークル等、青年団体は五十四を数える。

これらの団体に加入している会員数は三万七千六百七十六人に及んでいるが加入率は三十九・ニパーセントで、全国平均三十六・ニパーセントを少々上回ってはいるものの、まだまだ低い数値である。

いわき市では青少年教育行政の一本化を図かるため、昭和四十七年に社会教育課より青少年課を分離発足させたが、この機に青少年団体の未組織地区の解消に取り組み、特に青少年団体の重点活動目標を地域活動づくりにおき青少年の社会参加を一層促進するため各種の育成事業を実施している。

 

一 地域活動を促進するための育成事業

 

(1) 地域診断による実態の把握

青少年に納得できる地域改造への意欲を誘発させるには、地域社会を拓くことに価値と感動を見い出させることが大切である。

そのためには、自分の住む地域社会の実態がどうなっているのか、地域内青少年の実態や団体活動の状況はどうか等をつかむことが運動の基礎となるわけであり、若者たちの理解を深め意欲をわきおこさせることになるのである。

青少年課では青年団体の協力を得て「青少年の意識」「遊び場所」「親たちの考え」などについて昭和五十一年から続けて調査実施し、青少年の地域活動に供している。

(2) 若ものによるふるさとづくり

推進事業

「ふるさとづくり運動」は、昭和五十一年度より文部省で青少年を対象とした地域活動の促進事業として奨励してきたが、当市では昭和四十八年から「じゃんがら念仏」「ざらっこ獅子舞」「田楽」などの郷土芸能の伝承をはじめ、各界で活躍中の郷土出身者を招き「ふるさとを語るつどい」等、ふるさとを見直す各種の推進事業を実施してきた。

(3) 「若人のつどい」等、社会参加

推進事業

市内の青少年団体、総参加のもとに昭和五十三年から毎年、平駅から本町通りにかけての街路清掃を行うことともに、市民の意識高揚のため風船、チラシなどを配布して環境美化の呼びかけを実施している。

特に本年度は平地区のみでなく、市内三地区に拡げ実践する。

(4) 「社会参加モデル地区」の設定

中平窪子ども会をモデル地区の中心団体に指定、集団的に実践する各種活動を通じて、地域社会の形成者としての役割と自覚を高める。

以上のほか、青少年の地域活動を進めるにはなんといっても青少年自身の自覚と、意識高揚にかかっているので指導者養成のため、社会参加実践指導者研修会等を開催している。

 

二 泉町滝尻青年会の活動事例

 

滝尻地区は総戸数千四百世帯で一部の住宅団地を除けば昔からの稲作・そ菜を主体とした純農地帯だが、今ではほとんどが兼業農家で会社勤めが多く青年会員も三十八名という市内でも小規模団体に属する。

同地区には約四百余年前、当時の農民が野武士や野盗から身を守るために習ったという珍らしい農民武術「棒術」が今も残り伝えられている。

氏神である諏訪神社の例祭にこの棒術と獅子舞が同時に奉納されてきたことから「棒ささら」と呼んでいるが、一時、奉納が中断されたことがあった。ニメートル近い棒と棒との武技で面をうち胴をなぎ足を払う真剣勝負なみの追力のある激しい連続技のため受け継ごうとするものがなかったが、滝尻青年会がたちあがり後継し復活した。青年会ではこの棒術の原型が農具のテンビン棒や鎌から生まれたもので、素朴で土の臭いたっぷりであり、他町村の棒術とはだいぶ違うところから将来のため子ども会員にも是非、受けついで貰おうと小学五・六年生の会員に伝授した。男子は棒、女の子はナギナタと毎晩の厳しい特訓の末、今では立派に

 

 

 


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