教育福島0053号(1980年(S55)08月)-042page

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教育センターから

 

教育研究の改善を求めて

 

一 はじめに

 

学校教育において、児童生徒一人一人の望ましい変容と、豊かな成長を願うとき、教師に与えられる責任はまことに大きいものがある。この責任を果たすためには、一人一人の教師が教職の専門性を認識し、創意工夫を加えて研究的に教育実践を進めることがなによりも必要である。教育センターでは小・中・高等学校の中堅教員を対象として、指導法改善のための教育研究法に関する研修を深め、指導力を高めることをねらいとして、「教育研究法講座」を実施し、その充実強化に努めている。

この講座の前身は、学校や地域の教育活動を推進していくリーダーを養成するために、県教育研究所が昭和三十九年に開講した「地域研修指導者養成講座」である。昭和五十年に、この講座の研修期間、研究領域等を再検討し「教育研究法講座」とその名称を変更した。昭和五十四年には、「学校経営(B)講座」とともに、この講座に高等学校教育を研修対象として組み入れ講座人員を拡充した。教育研究法講座になってからの研修者数は、二百十二名に達した。今年度の研修者を学校別研究主題の領域別にみると表1のとおりである。

この講座での教育研究は、指導法改善についての一つの問題解決をめざすもので、

(1) 当面解決がせまられている指導上の問題点についての問題意識を持ち、

(2) 解決するための仮説を設定し、

(3) 設定された仮説を適用した検証授業等を実施して、仮説を検証するための資料を収集し、

(4) これらの資料に基づき考察(比較・分析・総合などの思考活動)を行い、

(5) 一定の結論を導き出して、この指導法の効果と個人の変容をたしかめるといった手順で研究が進められる。

具体的には、年間十二日の研修日を

・前期(研究主題を設定する段階)

・中期(検証計画を立案する段階)

・後期(研究結果を報告する段階)

の三期にわけて教育センターで行う研修と、在職校における研究・実践によって研究が進められる。各期とも主題研究の相談のために六時間を用意し、相談は、教科等ごとに相談担当所員との間で進められる。研究の成果は、研究報告書としてまとめられ、その一部は教育センター所報で紹介される。

講師及び助言者は、県の内外にわたって幅広く人選し、講座の内容にふさわしい研究や実績のあるかたにお願いし、講座内容の充実を図っている。今年度に特別講義をお願いする主な講師は次のとおりである。

・郡山女子大短大部教授 長谷川寿郎

・日本女子大学助教授 梶田叡一

・岩手大学教授 駒林邦男

・県文化センター館長 高橋哲夫

講座は、教育研究の基礎的内容、教育研究の方法的内容、それに研究領域ごとの相談内容から編成されるが、以下各期ごとにその概要を紹介する。

 

二 前期(研究主題の設定)

 

前期は、研究計画をつくる段階で、研究主題と仮説を設定することが主眼になり、表2の日程で進められる。

第一日目は、研究のオリエンテーションにあて、事前研究の手引きに基づいて作成した研究計画書にそって、研究主題、研究の趣旨、仮説に一貫性があるかどうか、どの単元で検証授業を行うのかなど具体的な研究の進め方を確認する。第二日目の午前は、教育研究の意味、類型、技術、留意点などについての講義があり、午後からは、教科等ごとに担当所員との間で研究相談を行い、研究計画をにつめるといった一連の流れをもって講座は展開する。

ここでいう仮説は、問題場面(問題点)に、解決策をはたらかせた場合の

 

表1

教科
学校
国語2215
社会2215
算数・数学2215
理科2327
音楽11 2
体育・保体11 2
図工・美術11 2
家庭・技家1315
英語 213
道徳11 2
特別活動1113
1419841

 

 

 


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