教育福島0053号(1980年(S55)08月)-043page
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効果の予測のことで、ひらたくいえば「研究の見直し」のことである。
研究が成功するか否かは、半ば仮説に左右されるといわれる。研究は"教師の眼″と"課題観″が前提となる。研究の第一歩は、日常の教育実践における当面解決がせまられている問題をほり起こすことからはじまる。一人一人の児童生徒を育てる論理に立った、注意深い観察と、その忠実な記録が研究の基本となる。限られた期間内での個人研究であるので、研究テーマは、ある分野のある問題に焦点をしぼり、解決可能なごく小さな問題に限定する必要がある。
第三日目の午前には、「授業分析の基礎理論」と「学習指導上の諸問題」についての講義を受け、授業改善の具体的な方策を研修する。午後からは、有効度指数や把持率の求め方に関する「データの処理」についての講義と、電卓を用いての演習が行われる。
第四日目の研究相談は、第二日目の相談内容を修正したり、焦点化するためのもので、研究計画をにつめ、修正案を作成する。
三 中期(検証計画の立案)
中期は、これまでの研究経過を検討し、研究をより確実なものとするためのもので、検証計画を立案することが中心となる。講座は、表3のように計画している。
第一日目の研究相談では、研究経過報告書をもとに、研究内容、方法、研究途上の問題点を検討し、仮説を検証授業のどの部分に、どうおろすのかが一見してわかる検証授業案を作成することが主眼となる。四日目にはこれを更に検討し、修正案を作成する。
第二日目の午前には、瀬上小学校で算数の授業を提供していただく。事前研究ののち、係分担をきめ、授業研究に参加する。記録に基づく授業分析を行い、三日目の午後には、班ごとに分析結果を発表し、研究協議で意見を交換する。教師の生命は授業にある。授業をできるだけ客観的に観察し、これを分析研究して、望ましい授業へと指導法を改善していくことが、授業研究のねらいである。小・中・高校の先生がたが、合同で授業研究の機会を持つことは意義深いことである。
第二日目の午後は、「学習指導と評価」と題し、この分野のベテラン講師による特別講義を聞き、評価のあり方について識見を高める。第三日目のデー夕の処理は、前期の演習の延長として、正答率の差の検定、等分散の検定(F検定)、平均値の差の検定(t検定)など主に検定について研修する。
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長谷川寿郎先生「教育研究法」
四 後期(研究の報告、発表)
後期は、研究報告会が中心となるが教職教養に関する講義、講演が多く組まれているのが特色で、内容は表4のようになっている。いずれも専門分野における第一人者の講義・講演を聞こうとするものである。
研究レポートは、十二月下旬までに提出され、後期には、研究報告書として製本されて配付される。
研究報告会は、義務教育課主幹、高等学校教育課主幹はじめ福島市内の校長の助言のもとに進められる。発表者は、発表時間が短いので、発表内容に一貫性を持たせ、その要点を効果的に印象づける工夫が必要になる。
五 終わりに
以上は、教育研究法講座の概要であるが、例年、講師の先生がたの適切な指導助言と、所をあげての相談態勢、それに研修者の熱心な研究姿勢に支えられて、所期の目的を達成している。研究報告書は教育研究の指針として、広く活用されている。更によりよい講座にしていきたい。
表2
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表3
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表4
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