教育福島0055号(1980年(S55)10月)-037page
内容を復習させるとともに、ドリルや結末の中から、二、三質問し答えさせる。
3) オーラルアプローチで、特に注意することは状況を大切にすることである。今時の内容に関する説明を準備できる限りの視覚教材を使って、場的設定を行いながら話題の提供をしていくように心がける。教材、教具、資料等を十分準備すれば意欲的になり、生徒の反応もはっきり観察でき、効果があがるように思われる。テストクェスションはできるだけ簡単なものを選び、深く内容を問うような問題はさける。L・Sにおいては完全主義を求めるよりも発表意欲を大切にすることを心がけ、成就感を持たせるよう配慮する。
4) L・Rいずれを先にするかは論議されるところであるが「聞く」と「読む」は、音声感知と文字認知の差異であり、聴解を進めれば、読解への移行を助長することができると思われるので、「聞く」に重点をおいて先に取り組み「読む」に移行するよう授業の組み立てをしている。
最初にテキスト、プリントいずれも閉じて音声の流れを感知させ、次にプリントによりフィルインブランクを行わせるようにするが、ブランクの語句の「聞く」にだけ気をとられぬよう注意させ、あくまでも全体の流れの中で作業をすすめるよう心がけさせる。
プリントは、不定期に提出させるようにし、「聞く」に集中させることをねらいとする。テープは三回程度聞かせる。次にテキストかプリントを聞かせ、テープを聞きながら音読、後についてのコーラスリーディングを行わせる。個人のリーディングは少なめにして「聞く」に重点をおいたやり方とする。時々頭出しや半分くらいでとめて残りの部分をいわせることも「聞く」を熱心にさせる効果を持つが、結末において取り扱った方がベターかもしれない。
5) 説明は精選をして二、三にしばりこまごました文法的説明は省くようにするとともに文法と読本、あるいは作文の授業のユニット化を進めるべきである。訳は全訳よりも部分訳とし、できるだけ意訳をさせるようにする。意訳については不明の単語があっても、どういうことをいっているのか、ある程度わかれば次のステップへ発展する可能性が大きいと認めるからである。
6) 結末ではQ&Aか口頭作文などのオーラル チェックにより、復習させるとともに、テープを聞かせて音声のまとめをさせる。作文にはカレントトピックの利用を心がける。
L・Sを主体とした授業の展開
六 「聞く」の効果
追跡調査の結果Lを重視したクラスの方が普通のクラスより、点数が五、六点上まわり、定着度が高い。特に内容を問う問題、ブランクを埋める問題英間英答、音声に関する問題において差が見られる。むしろペーパーよりも毎日の授業面においてアクティブであることの方がより大切で意義のあることと思う。また「聞く」に重点をおいた授業やLL授業についての生徒の反応の主なものは次のとおりである。
1) LL授業の方が英語をやっているような気がした。
2) 役にたった。
3) 和訳や文法よりも聞いたり、話したりする方が楽しい。
4) 聞く力が身についた
5) 興味がわいた
生徒の興味、関心とアクティブイングリッシュがマッチしていることを示しており、十分工夫し、対応していけば興味を持続させ、効果を上げていくことができる。
七 評価
L・Sにおいては完全主義を求めるより多少まちがっても、意図していることがいえればよいとすべきであり、文法、構文に余りこだわらず、音声や単語を大切にしていくべきだと考える。発表させていくこと、意欲を持たせていくことが大切であるから評価は厳密にせずA、B、Cの三段階で十分である。
八 アクテイブを目指す今後の課題
「日本人が聞く、話すを苦手とする理由はなにか」というアンケートに対する回答の要旨は「英語を使わなくても日常生活で困ることがない」日本の環境の中で、「十分に訓練されているとはいえない教師」から「英語学習には必らずしも適切でない教材」を使って「筆記中心の入試準備」に追いたてられ、「英語に対して嫌悪感すら感じるようになった」学生が多いという内容である。
「聞く、話す」の効果的伸長を叫びながら、なおかつ効果を上げえない理由は様々あろうが、1)進度 2)入試英語 3)教材不足と利用の不備 4)内容や指導方法の不明確性 5)評価の困難性などが考えられよう。
加えて生徒の多様性、受験対策、多人数、高学年におけるL・Sの扱い方、準備の問題など障害と課題は余りに多いけれども、工夫をこらすことにより実現可能な面が案外多いことに気がつく。