教育福島0057号(1980年(S55)12月)-029page
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わたしの研究実践
学習の個別化をめざした理科指導
福島県立保原高等学校
一 はじめに
昭和五十七年度からの教育課程改訂による改善は我々教師に対する指導法に関して発想の転換を求めているというとらえ方をするのが妥当であろう。特に次のような点について研究への努力が要請されているものと考える。
(1) 学際的、総合的教科研究
(2) 学習意欲を高める授業研究とその分析
(3) 協力指導体制づくりへの研究と実践
このことは共通必修科目の指導において、内容の構成も指導の方法も総合化への方向づけで行われなければならないし、進学率九十五パーセントに達するといわれている今日、能力・個性などが多様な生徒達の「わかるまで指導してくれているか」「学習意欲を起こさせる授業をしていてくれるか」という願いを満たしてやることが必要なのである。そして、更に共通必修科目に対する協力指導システムへの研究と実践を確立していかなければならないと考えている。
本校においてはそれぞれの教職員が自己研修あるいは文部省県教委の指定研究を受け、共同研修に積極的に取り組んで、相互の信頼と理解に基づく協力的な人間関係が成立していて、その成果は昭和五十四年度教育研究グループ報告、昭和五十五年度県教委指定研究報告で発表している。
ここでは特に生徒の実態と指導の個別化を重視した授業研究後の学習に対する生徒の変容についての評価を主として述べることにする。
二 生徒の実態と学習意欲の変容
「図1」は生徒が学習の意義について、どのような形でとらえているかを調査した結果である。その結果、将来の進路につながると答えたものの数は全体の六十二パーセントにもなり、学習到達度の高い生徒ほど「進路」以外のものにその価値を見いだしている。
「図2」は、個別化を図った授業を実践した結果の、理科学習意欲の変容の実態である。この結果から見ても、望ましい方向への意識の変化の様子を知ることができる。
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熱心な授業
また、「図3.4」に示したように個別化した授業に対する生徒の反応と、身についた内容について見ると、教材の提示、実験・観察、グループ活動等を適切にとり入れていったことが、内容の理解に至る過程においても生徒達の意識と学力においても、かなりの効果をあげ得たものと考える。
次に入学時における理科の学習到達状況の実態と、第三学年までの伸長度並びに学習到達状況について見ると、その進展にはめざましいものがあり、これを県内のある進学校と比較してみても格段の差を認めることができた。更に、進学、就職等の状況においても理科学習に対する学習習慣が核となり、すべての教科の学力が連鎖的に発展・向上し、入学時の学力の実態からは予想もつかない成果を上げ得たものと考えている。
筆者らが課題としてとらえた視点は、生徒の基礎学力の不足とつまずきの累積、学力格差の増大とその固定化傾向の現状を打破するため、きびしい教育条件のもとで生徒達に学習の意義を明らかにし、全力を尽して意欲的に学習できる条件と内容を準備することに努力を重ねようと研究をした。そして一斎授業の中での個別化を重視する指導形態をあみだし、より本質にせまろうと授業研究を進めた。
これらの研究の中で障害になったの
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