教育福島0060号(1981年(S56)04月)-029page
親から子へ
消防クラブの活躍
(原町市立原町第一小学校)
−相双教育事務所−
新しい学習指導要領では、手づくり奉仕作業など、体験的な学習を重視しています。
本管内でも、研究指定校を中心に、授業に、課外活動に創意を凝らしたざまざまな活動が続けられています。
ここでは、親から子への長い伝統に支えられた、少年消防活動をとおして地道な成果をあげている原町第一小学、校消防クラブを紹介します。
この消防クラブは戦後間もない昭和二十五年に結成され、今なお続いていますから三十一年目という伝統のある活動になっています。
「原町」は野馬追い祭りで全国に知られています。町には大きな川もなく水利は非常に不便なところだけに、現在では至るところに消火栓が設置されていますが、戦後間もない物資のない生活の中で、防火の精神を育てようという願いからこのクラブが結成されたといわれています。
このクラブのめあてでもある「ちかいのことば」は次のようなものです。
(1) 私は、少年消防クラブ員としてのきまりある態度を身につけます。
(2) 私は、火の用心につとめます。
(3) 私は、礼儀正しくします。
(4) 私は、約束を守ります。
(5) 私は、たがいに助け合います。
また、この「ちかいのことば」を実現するために、消防署の協力を得て次のような学習をしています。
(1) 生命と健康を大切にすること
(2) 火災予防に関する研究
(3) 災害から身を守る方法の体得
(4) 社会のためにつくすこと
更に具体的な活動内容としては、
(ア) 火事や地震の際の避難のしかた
(イ) 花火の正しい使い方
(ウ) 危険箇所の点検
(エ) 防火パレード
クラブには、四年以上の全児童が加入し、消防署のかたの専門的なお話になると真剣に聴き入っています。この態度は授業をはじめ日常生活にも生きて働いています。「消防クラブに入ってからは、うちの子も一まわり大きくなったようだ」とあるお母さんは言ってくれました。
また、あるお父さんも「ガス栓、火の元、戸じまりなどよくみてくれるし時には注意されてなあ…」と。
春、秋のパレードには、消防署長さんや署員のかた、市役所のかたやPTAが多数参加し、励ましの言葉があり、クラブ員も自覚を新たに目を輝かし、「よし、やるぞ」と希望が年々広がっています。
「父ちゃん母ちゃんが、クラブ員のころは、いろいろな活動をしたっけなあ」と家に帰っての対話も楽しく続いています。
この活動が日常の生活に結びついて現在までのところ大火、大事もなく、子供たちも、一人一人が自信を持って生き生きとした毎日をおくっています。
このように、地域ぐるみで消防クラブの活動を通し、いろいろ体験させる中から「よし、やるぞ」という気力を育て実践に移させている教育。親から子へと受けつがれ、しかも、三十一年も続いてきたこの姿。本当に心うたれるものがあります。
この教えをうけた子供たちが、やがて立派な社会人となり活躍するとき、伝統も受けつがれ一段と発展していることを期待しています。
校庭の五本の大きなケヤキの木が、枝をふるわせて、子供たちの成長を約束するかのように見守っていました。
防火の精神をあらたに