教育福島0060号(1981年(S56)04月)-032page

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わたしの研究実践

 

「地理A」学習内容の構造化

福島県立田村高等学校教諭

富 塚 哲三郎

 

一 授業実践の概要と主題の設定

 

これから述べることは、今までの実践の反省に基づき、これからの効果的な授業をめざすための基本的な考え方を示すものである。

より効果的な授業を行うためには、毎時のねらいはもちろん、担当する科目のねらいを自分なりに把握しておく必要があるので、次のことを目標と定めて授業を進めている。

 

(一) 社会科の役割は、社会生活の主体である人間を形成することにある

 

(二) 社会科を構成する各科目は、思考力などを育成し、社会生活についての理解と認識を深めさせる

 

(三) 社会科を構成する地理Aは、

 

1) 地理的事象を探究する学習を通して思考力などの能力を育成し、

2) 地域的事象の分布、地域的差異、地域相互の関連など、基本的概念を把握させることによって、「地域性」を理解させ、

3) 世界に対する地理的な認識を養うことである。

授業実践の課題は、以上のねらいに向かって、生徒の探究能力・理解力・知識を身につけさせるために有効な授業を設計し、実施することである。私の研究的授業実践は丸三年を経た。しかし効果的な授業は一例もない。その原因は試行錯誤を繰り返したことと、評価を授業の改善に役立てなかったからである。その打開策は、

 

(一) 学習内容を生徒の思考過程を予想し、論理的に設計する

 

(二) 授業改善をねらいとした評価を実施する

 

ここでは、(一)、(二)のうち、(一)について、今までの研究実践の反省に基づき「学習内容の構造」に関する私見を述べるにとどめ、今後の授業実践の指針としたいと思っている。

以上のように、ここで述べることは研究実践の具体的記述ではないが、以下に取り上げた若干の事例は、「都市の配置と階層構成」(一時間)の指導計画と実践例と題して福島地理論集第二四巻第二号(五五年十二月刊)に載せた具体事例に基づいている。

 

二 学習内容の階層的構造

 

(一) 学習内容の構造化に関する私見

都市の数、規模、分布に関する空間的秩序を学習内容として指導する場合には、階層構造的な考え方で構成した方が良い。その際、この秩序に関する複雑な理論を理解させようとするのは得策ではない。

各都市の中心地の階層序列、中心地相互間の間隔と中心地の配置、中心地と都市圏の関係などに分析してみる。中心地理論の体系は、これら各部分の有機的結合関係によって組み立てられている組織体とみることができる。

次に、組織体の中から、中心地の階層序列に関して取り出してみると、これもまた一つの組織体であり次のように表すことができよう。

 

更に下の概念に属する最寄り品、買い回り品などと有機的関係によって成り

 

各部分の有機的結合関係によって、中心地の階層という概念が組み立てられる。さらにこの概念を組み立てている各部分の中から「中心地から供給される財」という概念についてみても、更に下の概念に属する最寄り品、買い回り品などと有機的関係によって成り

 

 

 


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