教育福島0060号(1981年(S56)04月)-043page

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知っておきたい教育法令

勤務時間制度

 

一 はじめに

 

戦前において官吏は無定量の勤務をする義務を負っていた。公立学校教職員の身分は官吏待遇とされていたので教職員に勤務時間という概念は存在しなかった。これに対し、戦後の公務員制度においては、勤務時間の概念が取り入れられ、公務員は一定量の勤務を提供し、その反対給付として一定の給与を受けるものとされた。

 

二 教職員の勤務時間

 

地方公務員法第二十四条第六項は、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定めると規定している。これを根拠に本県では、職員の勤務時間に関する条例第二条で、職員の正規の勤務時間は、一週について四十時間を下らず、四十八時間をこえない範囲内において、人事委員会規則で定めるとし、職員の勤務時間に関する規則で、条例第二条の規定による職員の勤務時間は、一週間について四十四時間とするとしている。

ところで市町村立学校の教職員(県費負担教職員)の勤務時間については、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第四十二条で、都道府県の条例で定めることになっている。これをうけて、福島県市町村立学校職員の給与等に関する条例が定められ、この第十条により、本県の市町村立学校の教職員の一週間の勤務時間は、四十四時間である。

 

三 勤務時間の割振り

 

一週当たりの勤務時間数が定まっても、それだけでは教職員はいっ勤務すべきかわからない。この時間数の枠内で個々の曜日における勤務時間や勤務終始の時間などを具体的に定めることを勤務時間の割振りという。

本県において、勤務時間の割振りは勤務時間条例第二条第三項により、任命権者が月曜日から土曜日までの六日間において行うものとされている。これに基づいて、月火木金については午前八時十五分から午後五時まで(一日八時間勤務に休憩時間四十五分)、水については午前八時十五分から午後四時三十分まで(七時間三十分勤務に休憩時間四十五分)、土については午前八時十五分から午後零時四十五分まで(四時間三十分勤務)と割振られている。(福島県立学校の管理運営に関する規則第十九条第一項。なお夜間に勤務する教職員の勤務時間は同条第二項に規定。)

県費負担教職員の勤務時間の割振りについては、その服務を直接監督する市町村教育委員会が割振りの権限を有することが適当であるとの考えから、勤務時間の割振り権を市町村教育委員会に委任しており(福島県教育委員会の権限に属する事務の一部を市町村教育委員会に委任する規則参照。)、各市町村教育委員会がそれぞれの実態に則して市町村立学校の教職員の勤務時間に関する規程等で具体的に行っている。

 

四 変形労働時間制と時間外勤務

 

労働基準法によれば労働時間の原則は一日に八時間であり、一日の労働時間が八時間をこえて割振られることは原則として許されない。しかし同法ではまた、四週間を平均して一週間の労働時間が四十八時間をこえないように定めた場合は、その定めにより特定の日に八時間又は特定の週に四十八時間をこえてもよい旨を規定している。ならしてみれば一日平均八時間の労働時間となるこのような労働形態を変形労働時間制という。

本県において変形八時間の勤務時間にできるのは、福島県義務教育諸学校等の教育職員の給与等の特別措置に関する条例第七条第三項及び同規則第三条により、特定の日において八時間又は特定の週において四十四時間をこえて勤務させる場合であって、二週間を平均して一週間の勤務時間が四十四時間となるものに限るとしている。この変形時間労働制は現在の学校運営の実態にかんがみ、(一)生徒の実習口学校行事日職員会議四非常災害等やむを得ない場合田高校の入試に関する業務に限って採用するようにしている。

また、義務教育諸学校等の教育職員については、原則として時間外勤務は命じないものとされているが、前述の

(一)から四までの業務に従事する場合であって、緊急やむを得ない必要があるときに限り時間外勤務を命じることができるとされている。

 

 

 


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