教育福島0067号(1981年(S56)12月)-016page

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二 県立図書館

 

建築基本設計は三月二十五日に納品され、引き続き七月に建築実施計画を石本建築設計事務所に委託した。図書館のための図書館と、開かれた明るい図書館を目指す県立図書館の構想は、百万冊(現在二十四万冊)収蔵可能な二千七百平方メートルの半地下式の書庫、十万冊の図書を開架する二千百平方メートルの公開図書室(閲覧室)などをメインに、面目を一新して全国トップクラスの施設に生まれ変わろうとしている。

蔵書整備計画は、恒常的に県立図書館が進めている計画とは別個に、文化施設整備室に於いて四千数百万円を予算化し、公開図書室用基本図書九千冊・参考図書千六百冊等を整備し、オープンまでに十万冊を達成する予定である。

県立図書館の敷地は美術館と同一であることから、機械室・講堂・食堂等は共用として美術館の面積に含め、図書館九千平方メートル、美術館九千七百平方桝を予定して、実施設計が進められている。

 

三 県立博物館

 

一月に報告された県立博物館建設基本構想に基づき、県立博物館収集展示委員会を設置し、収集・展示(十二委員)と展示案作成(十二名中の七委員)に分けて委員会を開催している。

委員は次の通りである。(岡田茂弘氏は専門委員、○印は展示委員)

○岡田茂弘 国立歴史民俗博物館

岩崎敏夫 東北学院大学

梅宮 茂 福島県考古学会長

大石直正 東北学院大学

菊池貴晴 福島大学

○国友俊太郎 日本エキシビジョン

○小林清治 福島大学

○鈴木敬治 福島大学

○平川 南 東北歴史資料館

○誉田 宏 県文化センター

○目黒吉明 県文化センター

鷲塚泰光 文化庁

これまでに、収集展示委員会(全体会)一回、展示委員会三回を開催し、総合展示計画案のとりまとめに当たっているところである。

本年度中に、具体的な展示物を含めた総合展示案と部門展示案を作成する計画で進めている。

資料収集については、学芸員によるコレクション調査、県立博物館資料調査員(旧郡単位十七名委嘱)による調査によって、県内各地の考古・歴史・民俗・美術工芸・地質等の資料について、その所在及び内容の把握のため、カード作成に努めている。

本年八月三十日に発足した「福島県立博物館協力委員会」は、全会津の歴史研究家ら約六十人をもって構成する民間団体(会長宮崎長八氏)で、県立博物館資料調査及び資料収集の促進を事業目的としているところがら、強力な民間協力団体として期待されている。

県立博物館の建設地は、六月二十三日知事から鶴ヶ城跡の東側の会津総合運動公園内約四万平方桝を充てる旨発表されている。これに伴い年度内に地質のボーリング調査・測量を実施する予定になっている。

 

四 県立博物館学術調査

 

第一回県立博物館学術調査は、十月二十日から十一月七日まで、泉崎村太田川字原山の原山古墳の発堀を実施した。十年前の土取り工事でマウンドの東半分が削除されており、径十村程度の円墳とみられていた。調査の結果主軸長三十材前後の前方後円墳であることが明らかになった。

幅二村、深さ一メートル前後の周溝がめぐり、この中に転落した植輪多数が検出された。後円部の主軸線上溝内から盾を持つ人物と別個体の人物左腕、前方部と後円部のくびれ部分の溝内から壷を捧げ持つ人物など人物植輪五個、鳥型埴輪一個、琴型埴輪一個、他に円筒埴輪、朝顔型円筒埴輪等数十点(復元可能)が検出された。

同時に出土した土師器、須恵器から、築造年代は五世紀から六世紀にかけての時期が与えられる。被葬者は埴輪を持つ前方後円墳が白河地方では他に知られていないことから、この地方の首長と考えられる。

盾を持つ人物・鳥・琴など東北地方ではらであり、多数の人物がまとまって出土していることは葬列を意味すると考えられることから、本県古代史上極めて重要な資料と云わなければならない。主体部は既に削除されているのか、残存しているのか不明であるが、今後の調査によって明らかにされよう。この大量の埴輪群は、県立博物館を飾る中心資料として、全国的に注視されることになろう。

 

五 今後の計画について

 

県立美術館・図書館の建設地は、国有財産であることから、福島大学・大蔵財務部・県・市で構成する福島大学跡地利用協議会を設置して払い下げ事務が建設計画に支障のないよう調整を図っている。今のところ十一月の国有

斎藤清展(オープンセレモニー風景)

斎藤清展(オープンセレモニー風景)

 

 

 


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