教育福島0072号(1982年(S57)07月)-009page

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ための中心的役割を持つ組織として、「いわき地区生徒指導推進会議」を設置し、年間三回の会議を開催してきたが、生徒指導を市内の公民館活動に組み入れて推進したこともあって、公民館長を加えた会議を含めて、第二年次は五回開催した。

推進会議には、市内を七方部に分けた方部会、更に家庭生活、学校生活、地域生活の各専門部会を置き、それぞれの実態や問題点とその対応策について共通理解を図りながら研究協議を行った。

推進会議は、地域ぐるみの生徒指導を推進していくための基本計画の策定と、それに基づく諸活動の総括に当たってきたが、それに加えて第一年次には、児童・生徒の意識と生活実態について現状と問題点を把握し、資料として活用することを目的に、質問紙法による調査を行い、その結果を「子どもたちの生活と意識」の小冊子にまとめた。第二年次には、それらを踏まえ、家庭や学校、地域社会に対する提言を作成して、「地域ぐるみの生徒指導推進のための小提言」としてまとめ、市内の各学校、公民館、関係団体・機関に配布し、今後の活動に供するようにした。

 

二 生徒指導推進研究集会の開催

 

生徒指導推進地域としての事業の一環として、市内の生徒指導及び青少年育成関係者が一堂に会し、地域ぐるみの生徒指導の積極的展開のための方策について研究協議を行うとともに、青少年健全育成の意識の高揚を図る目的で、十二月九日に「いわき地区生徒指導推進研究集会」を開催した。

家庭と学校、学校間、学校と地域社会のそれぞれの連携をどのように進めるかについて、一八○名の出席者が四分科会に分かれて研究協議を行い、全体会で共通理解を図った。

全体会では、筑波大学稲村博助教授の講演「問題行動の今日的状況とその背景」があって、児童・生徒のまさに今日的な問題行動とその要因や背景について、臨床学者としての豊富な事例を通して理解を深めることができ、それによって在学青少年の健全育成についての親や教師のあり方と役割、関係者の対応のしかたなどについて共通理解を一層深めることができた。

いわき市においてもこれまでいわゆる青少年健全育成に関する集会や大会が行われ、それぞれ成果をおさめてきたが、生徒指導を中心に据えた研究集会は初めての試みであった。進学率の上昇によって青少年に占める在学青少年の比率が極めて高くなったことやその健全育成がややもすると学校依存になりやすいことなどの状況からみて、このような催しは意義深いものであり今後の継続が望まれている。

 

三 中・高生徒指導連絡会議の開催

 

近年の進学率の上昇に伴い、国民的教育機関としての高校教育のあり方の一つに、中学校との連携を強化することが要請されている。いわき市においても市内の各方部に中・高連絡協議会等が組織されつつあるが、生徒指導推進地域としての事業の一つとして、市教育委員会主催の中・高生徒指導連絡会議が二回(十一月、二月)にわたって開催された。

市内の中学校四〇校、高校一七校の生徒指導主事が一堂に会して研究協議を行うことは初めてのことであった。

第一回会議では、中・高二名ずつの問題提起によるパネル討議方式でいくつかの問題点について話し合った。

その中で大きくとり上げられた問題は、いわき地区が県内で特に多いといわれている高校の中途退学者についてであった。このことについては、特に中学校としても大きな関心事であり、胸を痛めていることが高校側にも認識され、この点についての連携についても話し合われた。

また、中・高間の情報交換のしかたや中・高連絡カードの活用の推進、中・高の教師が同伴して家庭訪問を行った実践事例等もとり上げられ、連携強化の契機となり得た会議であった。

第二回会議では、出席者が中・高の生徒指導主事に加えて警察署(防犯課長)、市少年センター所長、浜児童相談所長、平少年鑑別所長等によって構成され、学校側が生徒指導関係機関の役割や機能を理解することに主眼を置き、更に相互の連携強化について話し合うとともに、要望を出し合って相互理解を深め合った。

市の面積は全国一といわれる広域ないわき市にあって、このような全市的な連絡会議は初めての試みであったが出席した各校の生徒指導主事や主催者の会議の趣旨や内容についての評価は高く、今後この会議の定例化が強く望まれている。

 

四 地区別生徒指導研修会の実施

 

生徒指導推進地域の中心的組織である生徒指導推進会議が策定した基本方針とそれに基づく推進計画をうけて、市内各地区青少年健全育成推進会とその事務局の各公民館が中心となって、それぞれの地区単位に、第一年次にひきつづいて研修会を行った。

各地区の研修会は既存の組織で、市内のほぼ旧市町村単位の十三地区(いわき市は、昭和四十一年に、五市九町村が合併して誕生した)からなるもので、これまで青少年健全育成の各種の活動を行ってきた弔のである。

研修会は、各地区の実態に合ったテーマを設定し、高校教師等を講師として生徒指導についての理解を深める研修を行ったあと、出席者がそれぞれの立場で問題提起や要望、提言を出し合って研究協議を行う進め方であった。

とり上げられる問題は、高校生に関するものが多い。小・中学校に比べて通学距離が長くなることから生ずる問

 

 

 


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