教育福島0072号(1982年(S57)07月)-010page
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題や高校生になってからの髪型と服装の乱れ、バイクの問題、男女交際から生ずる問題等、親や地域の人々の高校生の日常生活に対するさまざまな不安を反映した問題が多かった。
しかし、第一年次に比べ、従来の学校まかせの生徒指導を改めて学校を中心に据えた家庭や地域社会との連携をより一層緊密にしょうとする気運が高まってきた。例えば、研修会の出席者に関係団体として、飲食店組合喫茶部会や映画館と大型店舗の関係者を加えた地区があったことなどは、その表れである。
五 青少年健全育成事業との連携
生徒指導推進地域としての事業のほかに、各種の青少年健全育成事業が行われているが、それらは前述の市内十三地区の推進会が中心となって行われることが多く、双方の事業を一体化させて行った。
例えば、青少年を非行からまもる月間(七月)、青少年健全育成県民総ぐるみ運動(七〜八月)、全国青少年健全育成強調月間(十一月)等における市や各地区推進会の行う各種の事業や活動の中に、生徒指導を盛り込み、相乗的な、効率的な推進を図った。
(一) 家庭や地域社会の教育機能の回復を目指した「家庭の日(毎月第三日曜日)」の普及の地域活動、「家庭の日」推進研究集会
(二) 在学青少年の社会参加の促進を図った「在学青少年のつどい(初年次からの継続)」と公共広場や道路等の清掃やごみ拾いなどの奉仕活動の「青少年育成社会参加実践事業(十一月)」
(以上は十三地区青少年健全育成推進会による活動)
少年団体「ジュニアリーダー研修会」、高校生のボランティアグループ「シニアリーダー研修会」
(三) 社会環境の浄化整備活動の一環とした雑誌自動販売機設置状況調査とその対策(十三地区推進会と市少年センター)、補導活動(市少年センター補導員三〇〇名)、青少年非行防止推進大会(市教育委員会主催・七月)
六 生徒指導推進のための提言
生徒指導推進地域の二か年の指定期間を終えるにあたり、生徒指導推進会議は、これまでの活動の成果を踏まえながら、家庭及び学校、地域社会のそれぞれに対しての小提言をまとめ、市内の学校(小学校七〇校、中学校四〇校、高校十七校、国立高専・短大各一校等)の児童・生徒数、所在地、電話番号、市・県・国の関係機関の名称等を付した小冊子として刊行した。
家庭及び学校、地域社会のそれぞれに六項ずつの提言をあげ、更に児童・生徒自身の自覚を促す呼びかけをつけ加えた内容となっている。冊子の紙数の制限もあり、抽象的な表現に要約されているが、今後の地域ぐるみの生徒指導の推進のための緒活動に供するために、市内に広く配布した。
七 推進の成果と今後の課題
いわき市では、かつて常磐炭田の中心の炭鉱の町として特徴づけられた時代があった。石炭産業の衰退による閉山の試練を経て臨海工業の立地条件を得た工業都市化が進み、更に景観に恵まれた海岸線と温泉を背景に観光都市としての発展も著しく、活力に満ちた若い市である。
しかし、面積が全国一の市として、広大な地域内にあって過疎と過密が同時に進行していることから生ずるさまざまな問題や工業化、都市化が青少年育成にもたらす問題に直面している。
このような状況にあって、生徒指導上の問題点は多く、学校の教育活動のみでは対処しきれない問題も少なくない。
地域ぐるみの生徒指導を目指した推進地域の指定はこの点で時宜を得たものであり、これを契機に従来の学校まかせの学校依存型の在学青少年の健全育成を改め、地域全体の課題として取り組もうとする気運が高まってきたことは大きな成果であろう。
諸活動を推進するにあたって、高校生の問題、とりわけ不適応現象としての問題行動や非行、そして中途退学等がとり上げられることが多かった。
しかし、それらについての理解を深め、対応策の研究協議を進めるにつれて、それらは単に高校の問題ではなく子供の発達過程の延長上にあるものとしてとらえるべきであるとの認識が高まり、高校段階の生徒を「点」としてとらえるのではなく、「線」としてとらえ、小・中学校を含めた地域社会の問題とするようになり、そのような観点に基づく連携のあり方について研究協議されるようになってきたことも今後地域ぐるみの生徒指導を推進していく上での大きな成果となろう。
また、これまで健全育成が短絡的に非行防止とのみ受けとられがちであったことが、その背景や要因について洞察し、更に健全育成のためのさまざまな活動を広い視野で推進することが、
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在学青少年のつどい(遠野地区)
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