教育福島0072号(1982年(S57)07月)-011page
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非行防止の成果を生むことの共通理解が芽ばえてきたことも収穫の一つであり、このような息の長い指導体制を確立させ、継続させることが今後の課題の一つであろう。
今後、解決や対応に迫られている地域社会の問題は少なくないが、その中でいわき地域特有の志望高校の極端な偏りに起因するいわゆる中学浪人の問題と先にも触れた中途退学の問題は、早急に取り組まなければならない課題であろう。推進地域指定を終えたあとその組織と成果は、近く結成が予定されている「青少年育成市民会議」に継続されることになるが、今後の活動を期待したい。
最後に、二か年にわたり、地域指定の趣旨を十分に理解され、その推進に努力を惜しまなかった市当局はじめ関係者、市民各位に深甚な敬意を表したい。
中・高連携による生徒指導
はじめに
福島県教育委員会指定の研究校として船引高校、石川高校の両校が二か年にわたる実践研究の成果を発表した。
両校の研究は、これからの中・高連携のあり方や方向、そして当面する問題点など、多くの示唆に富めるものを含んでいる。昭和五七年度の高等学校教育課指導班の重点施策の一つに−中・高連携−を大きな柱として加えたのも、両校の成果を踏まえて全県的な推進を考えてのことである。
地図を広げてみると、偶然にも両校は阿武隈山系に発展した静かな町に所在し、人口や産業文化も類似したものを持っている。両校の沿革史には違いはあるが、それぞれ水郡線、磐越東線の沿線にあり、汽車通の生徒も多い。いま両校とも七〇%の生徒が就職し、三〇%が進学する。生徒指導上の問題も、ほぼ同質のものをかかえているといわれている。これらの環境条件の中で、両校がいかなる課題を掲げ、いかに実質的な取組を推進したか、その経緯はまさに我々の指標となるものであろう。以下、両校の報告書にもとづく研究の概要を紹介したい。なお、第一年次の中間報告は、昭和五六年「教育福島」七月号に記載されているので、あわせて参考にされたい。
一 主題と研究内容
○船引高校
主題
「生徒指導において中・高及び隣接高校との連携をどう進めたらよいか」
研究内容
1) 既存の組織を通しての中高の連携をどうすすめるか
(1) 田村郡中高生徒指導連絡協議会
(2) 船引町学校教育協会
(3) 県南地区高校生活指導協議会田村支部会
2) 中学校訪問
○石川高校
主題
「生徒指導において、中・高との連携をどのように進めたらよいか」
研究内容
1) 中学校と高等学校との望ましい情報交換の在り方
(1) 「石川地区中・高生徒指導連絡協議会」を通じて
(2) 「中学校訪問」を通じて
(3)「授業公開を通じての中高教育研究協議会」を通じて
2) 中学校との協調による保護者の啓発活動のすすめ方
これらの研究主題や内容について研究集録のあいさつの中で両校の校長は次のようにのべている。土田直枝船引高校長は「副題の示す通り既存の組織をフルに活用し、年次計画で活動を充実させたもの」一方、内藤豊治郎石川高校長は、「本研究は特に授業公開や、中学校との協調による地域的な取り組みとしての方部保護者懇談会に力を注いでみた」とのべている。
先に県の後期中等教育審議会が中高連携のあり方として、特に、組織面の充実について、(1)組織の見直しをはかり、その機能を活発にすること。(2)連携のための会議運営の工夫改善をすること。などを提言していたが、まさにこれを受けた実践研究ともいえる。
両校とも中学校訪問は必要欠くべからざるものと考え、船引は「実践と評価を重ねながら連携を確実なものとしていく」という堅実な方式を考えれば、一方、石川は生徒指導に新しく活路を開き、「中学校との協調による保護者の啓発活動」というユニークな方式を示した。
二 研究の実際と経過
このことについては発表集録に詳しく記載されているが、以下は両校の担当者による報告書の抜粋である。
○船引高校
従来、田村郡では、郡内三高校と十八の中学校が「田村郡中・高生徒指導連絡協議会」を結成して、生徒指導と進路指導等に関する連絡調整と協調を図りながら活動してきた。
また、船引町では、町内の幼・小・中・高校が「船引町学校教育協会」を結成して、授業公開、研修会、他県視察、レクリェーション等を実施し、親睦と研さんを深める活動をしている。
また、「県南高等学校生活指導協議会田村支部」は、田村高、船引高、小野高(含小野高平田分校)の三高校間で、情報交換、校外補導、事例研究等を通して、息の合った連携が定着している。このような中で、主題の研究を
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