教育福島0072号(1982年(S57)07月)-012page

進めたので前述の各組織の理解を得て副題を「既存の組織を通しての中・高の連携をどう進めるか」とした。

第一年次は、組織の一員として、これらの会の中で、とり上げられた事項を実践、評価し改善の方向を探った。

第二年次は、これを受けて、現段階で考えられる効果的な連携を進め、これに対して評価、考察をした。

そのため、当地域の中・高連携の実情をひろうするという意味合いの強い内容になった。

　

一　研究内容

　

(一)　基礎調査、生徒及び保護者対象第一年次、第二年次の二回。

(二)　実践、実態の評価、田村郡及び隣接中学校、本校教職員対象。

(三)　実践内容

1　中学校訪問

2　組織を通しての連携の強化

1)田村郡中・高生徒指導協議会

2)船引町学校教育協会

3)県南地区高校生活指導協議会田村支部

4)日常的な連携の強化

　

二　主要行事

　

表1は二か年にわたる研究計画と三つの既存の組織との行事一覧である。表にはないが、日常の連携もあることは言うに及ばない。

　

表1　既存の組織と行事一覧

　

三　中学校訪問

　

生徒の出身校を訪問し、直接中学校の先生方と話をする機会をもち、中学校の旧担任の先生方と顔を合せて、具体的に一人一人の生徒について話し合いを進めた。

話し合いを進めるうちに、疎外感が消え、信頼関係が生まれ、日常的な触れ合いがもたれる契機にもなった。

従来から訪問はなされていたが、中高連携強化の機会を得て以前より一層効果的な訪問をすることができた。

第二年次は二回に分けて実施した。

(一)　新学年を運営するに当たっての具体的方針をたてるについて、新入生の実態を把握するため、合格発表直後に実施して、調査書だけでは連絡できない内容のものを伺い、クラス編成や運営の資料として、また、入学早々の生徒指導に活用した。(近隣中学校七校訪問)

(二)　六月下旬には、生徒は高校生活にも慣れ、成績、性格、行動面で個性が現われ、高校生としての生活の様子も把握できる時期になり、これらの諸資料を持って中学校二〇校を訪問した。

訪問班編成は、一年担任を中心に、学校全体を代表する立場の人(校長、教頭を含め三班編成とした。

準備した資料は「中学校への便り」一年生に中学校の旧担任あてに、入学以来の様子などを書いてもらい、予め訪問中学校へ届けておいて訪問したが中学校の先生方は、その手紙から手塩にかけた生徒のその後の成長や変化を知ることができたということで好評であった。また面識のない人同志が、初めて懇談する場合の話の糸口となっている。

その他に本校卒業生の進路状況(出身中学校別)、学習状況(成績資料…説明資料)を用意し概況を知らせた。

また、「生徒心得」、交通関係の指導規程などにより、中高相互の生徒指導の方針や内容の情報を交換し、指導の一貫性を図った。

より効果を上げるためには、訪問前に、関係者間で打合せ会をもち、訪問に関して配慮すべき事項、資料の提供と活用、懇談の運び方などについて前もってつめておく必要性を感じた。四　田村郡中高生徒指導連絡協議会を通しての連携

昨年度まで、郡内中高校長、各中高進路指導主事、同生徒指導主事を中心に運営されてきたが、一層本会の目的に近づけるため、今年度より新しく実務担当者研修会が活動の中に加えられた。

とり上げられた内容は、郡内各中学校、各高校の生徒の問題行動、非行についての情報交換や指導事例の発表、中学校担当研究「一貫性のある進路指導をすすめるための中高連携のあり方」の発表、三高校の学校紹介資料提供などであった。

これらの中で中学校の先生方から、進学率を高めることにとらわれた指導、が果して正しいかどうか、高校の学習指導に適応できない生徒が増加している実態をよく踏まえることが先決ではないかという意見もあった。

また、中高連携カードを使用することについて、A中学校から試案の提案があり協議された。連携カードの功罪について論議されたが、カードによる