教育福島0072号(1982年(S57)07月)-034page
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教育センターから
昭和56年度の教育相談を顧みて
一 教育相談の実施概況
昭和五十六年度の相談人数は、移動教育相談を含め相談実人数三百六十九人、相談延人数一千四百五人で、前年度と比べると、実人数で百十八人の増(四十七・○%の増)、延人数で三百九十一人の増(三十八・五%の増)、対象者別にみると実人数、延人数とも中・高校生の来所者が多く、最も多いのは高校生の来所者で前年度に比べ実人数で二十人の増である。(図1)
図1 対象別(幼・小・中・高)相談の推移
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(一)性格・行動、特に登校拒否の相談
性格・行動に関する相談が、実人数で二百九十八人(八十・八%)を占めその中でも登校拒否が最も多く、実人数で百七}人となっている。これは、相談実人数全体の四十六・○%に達している。特に学校別にみると、中学生の四十人(中学生だけの相談実人数の五十九・七%)、高校生の三十八人(同、五十四・二%)で前年度の割合からみると中学生の場合約八パーセントの増、高校生の場合約九パーセントの増である。(表1)
表1 登校拒否児童生徒の割合
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中・高校生は自我が確立に向かう時期である。自我が確立に進めない生徒は、自主性に欠け客観的な思考ができず、しばしば対人関係に支障を来すことになる。
対人接触が困難になった場合は、しばしば身体症状を伴った不登校を起こし、閉じこもってしまうことが多い。これは、幼児期からの誤った養育態度の影響が現れたものと考えられる。
中学生では、家庭内暴力を伴ったものがみられ、長期にわたった指導が必要なケースも数例みられる。
高校生の登校拒否のうち症状の重い者の中には、自分から休学届を出し、継続的なカウンセリングを受け、自分をみつめる決心をした者もいる。その後、自分をみつめる力がっき、四月から学校復帰や就職の見通しがついたものもある。このような生徒は、休学することによって情緒が安定し、自己洞察が順調に進んだためと考えられる。
また、そのほかに、高校生になってからすぐ不適応を起こす例が多いのは、中学校段階での進路決定が思うようにいかなかったとか、入学当初の不安が持続しているためと考えられる。
そのためには、高校生活について理解を深めることや、的確な適応指導がなされることが大切である。
(二)非行の相談
非行の相談は、年々増え、五十四年度から実人数では、第二位を占めている。特に、中・高校生の相談の増加が最も著しい。(表2・3)
内容は中学生は、盗癖と万引、高校生は、シンナー吸引と無断外泊が多い。
いずれも特徴的に言えることは、学業に興味を示さないとか、行動が衝動的で耐性がなく、主観的な行動をとりやすい生徒に多いことである。
非行の相談は、指導が長期にわたることが多いため、学校・家庭・教育セ
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